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Nov 20 2017

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劇場版『銀魂』藤田陽一監督インタビュー「原作がむちゃくちゃやってくれるから刺激される」

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テレビアニメ開始から7年、ついに「完結篇」と銘打たれ、満を持して原作者・空知英秋が自らストーリーとキャラクター原案を担当。アニメ銀魂の7年間を締めくくる完結の名にふさわしい、過去、現在、そして未来を巡る壮大な集大成を描きあげた『劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』。

7月6日に公開されると連日多くの観客が劇場に訪れ、興行収入10.6億円と大ヒットを記録した『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』を越えています。本作の監督を務めたのが、藤田陽一監督。2008年に話数演出から監督に襲名し、アニメ『銀魂』の世界観を守る注目のアニメクリエイターです。今回は藤田監督に劇場版の苦労話から、アニメ『銀魂』への想いなどをインタビュー。色々なお話を伺ってきました。

――今回の劇場版は、原作者・空知先生の描きき下ろしですが、最初に物語を読んだ感想を教えていただけますか?

藤田陽一監督(以下、藤田):アニメ『銀魂』の完結篇という事もあり、描きき下ろしをお願いしたのですが、本当にサービス精神あふれるものが出来上がってきたなと。こちらから意見を出したのは「入場者プレゼントが本編に絡んできたら面白いよね」とか「今までやったことのない劇場でしかできないアクションシーンとかやってみますか」」そういうポイントポイントだけで、ストーリーはおまかせしました。

――という事は、オープニングの例の展開も。

藤田:そうですね、あれも空知さんですね。前作の劇場版「紅桜篇」というのはテレビの総集編で頭とお尻のギャグパートってアニメチームが作ったものだったんですけれども、今回はギャグパートも空知さんが考えたいという事で。あの仕掛けは劇場で観ないと分からない面白い挑戦ですよね。

――ストーリーを全部空知先生が考えられたという事は、キャラクター作りも?

藤田:空知さんに丸投げです。これお客さん戸惑うんじゃねえかなって思いましたね。見慣れた銀魂が始まらないと(笑)。空知さんの中には最初から未来の新八と神楽の構想はあったみたいで、こちらから何も言う事無く出てきました。

――そもそもなぜアニメ『銀魂』は“完結”する事になったのでしょう。

藤田:擦り減っていくより、美しいうちに終われれば(笑)。テレビシリーズもいつも「これで終わりだ!」っていうつもりでやってたら「もう1年やって」とかそれの繰り返しだったので。その都度その都度危ないネタとかも出し切って「もう次何していいかわかんねえよ」っていう。短距離走をやってるつもりがどんどんゴールテープが延びていくって感覚ですね。

今回の劇場版は「番外編」的なものにしたくないなあ、と思って。原作モノのアニメの宿命ですけれど、1本映画をオリジナルで作っても原作でストーリーが続いているから結局「番外編」にはなってしまうんですよね。その中でどれだけ意味の持てるお話に出来るのかな、というのはありました。

――「完結篇」と聞いて周りの反響は大きかったのでは無いですか?

藤田:意外に通っちゃったんですね(笑)。信じられてないのかもしれませんし、業界内からでもあんま信じられてなかったり……。コケたら本当終わりなんですけど(笑)。そこはシビアですから。

最終話のネームが上がってきて「万事屋よ永遠なれ」っていう劇中タイトルだけがあって、テレビでも長編は「○○篇」って見やすいように括っていたので、劇場版にもつけようという事になって、「完結編」以外にハマるタイトルが無かったんですよね。

――7年間のシリーズが本当に終わるのか(笑)、終わるとして、その最後の作品になるかもしれない絵を見たときに、監督としてはなにか感慨はありましたか?

藤田:ありましたよ、ちゃんと。美しく終わらしちゃったんで「うわ、これ、マジ次作れねえや」っていう(笑)。自分の中ではそれぐらい出し切った感じはあります。

――銀魂といえば時事ネタを巧みにパロディする事で有名ですが、今回もかなり笑えました。

藤田:そうですね、結局テレビもそうですけどね。時事ネタと言うかその時ピンポイントなネタ多いんで。面白く観ていただけるのは今だと思います。今観ないともったいないよって。

――ああいった、時事ネタやパロディ演出をする際に気をつけている事はありますか?

藤田:こっちがブレーキ踏まないようにはしようと思ってます。どっちかっていうと、やりすぎぐらいやって、ダメだったら周りが止めてる、っていう。西武の東尾元選手じゃないですけど、1球目はデッドボールを投げて、のけぞらせてからだとストライクゾーンが広くなるんですね(笑)。そういう事の積み重ねだったり。

――全編完成が結構公開ギリギリだったと聞いています、これは、監督ご自身もスタッフの皆さんも焦ったのでは無いでしょうか?

藤田:みんな「現実感がねえな」「現実感がねえな」って10日くらい前にずっと言ってましたね。「来週完成だよな?」「ウソだよね?」みたいな(笑)。現実感が無い中で黙々と作るしかなかったという感じで。

――そんな中でも特に苦労したシーンはどのあたりですか?

藤田:戦場のシーンは本当、墓穴を掘ったんじゃねえのかな、っていうくらいヤバかったですね。『銀魂』って「バカなところでCG使おうね」みたいなノリでいたので、戦場シーンでのCGの使い方など、ノウハウが無くて大変でした。作りながら、「イマドキの深夜アニメはどんだけ苦労してるんだろうな、俺らには分からねえ(笑)。こんなのテレビシリーズでやるの!?」って思いながら作っていました。

――苦労の甲斐あって、めちゃくちゃ格好良い映画に仕上がっていますよね! 空知先生からの感想などは聞きましたか?

藤田:非常に満足してましたよ。まあ、シャイな方なんで、半分笑いながら「誰だ、こんな面白い話作ったのは!」って言ってました(笑)。ストーリーから何から丸投げだったので、途中相当不安になっていた様です。「大丈夫かな、大丈夫かな、俺のギャグスベってねえかな」って。試写会とかってみんな関係者だから笑わないじゃないですか。試写会場前のロビーとかで「いやー、不安です不安です」と言ってました。

――藤田監督は最初に『銀魂』を読んだ時はどんな感想でしたか?

藤田:銀魂の各話演出に入った時に読みました。もういい大人だったのでジャンプ読むのも10年ぶりくらいだなって感じで。アニメの放送時間はゴールデンタイムだけど、どこまで出来るんだろうってまず思いました(笑)。あとは、制作会社がサンライズっていう事で、僕はサンライズの仕事ばかりしていたのですが、ギャグ作品が少なかったので楽しみでしたね。

――アニメ『銀魂』ってある時から急にアクセルがかかり出したような気がするんですけど、ターニングポイントとなった出来事ってあるのでしょうか。

藤田:やっぱり「わずか半年でゴールデン撤退」ですね。あれがものすごく大きかったと思います。それまでは『銀魂』をゴールデン流せるようにある程度翻訳というか、フィルターをかけていたけど、その危機感を感じてから原作のドぎつい所を、アニメでもより出すようになって。

――その後藤田監督に引き継いでもその勢いは止まらなかったと。

藤田:原作がいつまでもむちゃくちゃやってくれているんで(笑)、それに刺激されることで飽きずにやれた部分が大きいですね。あとは、僕が空知さんと同世代なんですよね。高松さん※や、もっと若い子だと分からないポイントが、僕には通じるのでそれは強みかなあと。
※高松さん…高松信司。アニメ「銀魂」初代監督。

――80年代カルチャーのころにすごく楽しい子供時代だったと思うんですけど、どんな過ごし方されてました? 例えば、ずっと家の中にいたとか、外で遊んでいたとか。

藤田:メリハリ効いてましたけどね。外出たら帰ってこない、でも家いる時はずっとテレビを見ている。僕が子供の頃はテレビが楽しくて仕方なかったですからね。いろんな刺激的なものが次から次へと流れてくれるし。ゴールデンでもガンガン、アニメがあって、『11PM』とかそのテの番組もあって……。健全なバラエティに爆笑して、セクシーな番組にはドキドキしてっていうバリエーションが多かった。テレビ側からなんかね、そうやって、積極的に仕掛けてくるというか。投げかけられてる感じがして。

――そういう意味で本作はかなり観客に投げかけていますよね。

藤田:そうですね。『銀魂』に限らず、『貧乏神が!』もそうでしたけど80年代の気持ち良さを出したいというか。一方的にこちらからテーマを押し付けるよりは、観客側の反応を見て、コミュニケーションをとる様にしたいと思っています。

――では、本作の反響が大きければ再びアニメ『銀魂』も見る事が出来るかも……?

藤田:いやぁ、きっついハードルですよね(笑)。結構疲れ果てて『銀魂』に対して出し尽くした感があるのでお話が来てから考えたいと思います(笑)

――今日はお話どうもありがとうございました。そして本当にお疲れ様でした!

劇場版公式サイト
www.gintama-movie.com

藤田陽一 (moroyon) on Twitter
https://twitter.com/moroyon

(C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会配給:ワーナー・ブラザース映画

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記者プロフィール

藤本エリ

日常系アニメと、黒髪・細身キャラクターをこよなく愛するライター。一番応援している声優は小野大輔さん。

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