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Apr 20 2024

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【コラム】ドネーション(お布施)として洋服を購買するということ [ハヤカワ五味の勝手に自由研究]

【編集部より】

AAAバスト向けのランジェリーブランド『feast by GOMI HAYAKAWA』で大ブレイクを果たした現役多摩美術大学生のデザイナー・ハヤカワ五味さん。ラフォーレ原宿2Fでは2015年5月29日まで服飾ライン『GOMI HAYAKAWA』のポップアップショップを限定オープンしていますが、そこで自身の10代を投影して現在まで囚われている姿を示した「楽になりたい」というストレートすぎるコンセプトを披露して異彩を放っています。

※参考 「楽になりたい」ってヒリヒリしすぎ! 『GOMI HAYAKAWA』ラフォーレ原宿限定ショップがリアル10代感覚全開
https://otajo.jp/47994 [リンク]

そんなハヤカワさんですが、服飾ブランドとしての『GOMI HAYAKAWA』は今回の限定ショップで一時休止となるとのこと。その決断に至った想いについて、ご本人に記して頂きました。

ブランド『GOMI HAYAKAWA』でやりたかったこと

私が、『GOMI HAYAKAWA』でやりたかったこと。それは次の3つです。

・若手クリエイターをジャンルレスに巻き込む文化祭型クリエイション
・ファッションという表現手段
・ドネーションとしての購買

1点目は、昨年に開いたイベント『GOMI HAYAKAWA 〜RPG〜』で実行しました。2点目はいうまでもなく、とにかく服を作りたい、そして売りたいということです。
そして3点目。これは説明が必要だと思います。

《ドネーションとしての購買》の提案

私は元々腐女子で、特に超マイナージャンルにどっぷりはまってました(笑)。イベントではよく人気ジャンルの緩衝材になってましたね、、、。

当時、よく友達が「これは公式へのお布施だから、、、、」と言って、完全に迷走している公式グッズを大量買いしていて、私も「確かにこれでアニメ化とか連載再開とかあるかもだしな、、、、」と思い真似して買うように心がけていました。
マイナージャンルで、固定ファンも少ないことがわかっているので、好きなキャラを拝むためにもみんな必死なんですよね、漫画描き続けて欲しくて。

その前にハマってた漫画も、漫画家の人が「単行本買ってねー!」とよく『twitter』などでおっしゃってたので月刊誌買ってるけど単行本も欠かさず買ってました。
やっぱ、漫画って漫画家の人がすごく可視化されていて、漫画単体だけでなく作家さんも愛する風潮があるので、そこに対しての「お布施」って欠かせないし。あんま嫌じゃないんですよね。もう、ほんとあのキャラが拝めればそれだけで満足、作家さん尊いって感じなので。

そう考えたら、服って圧倒的にそういうのがないんですよね。
というのも、まず、服ってモノ勝負というところが強すぎて、あまり人が登場してこないじゃないですか。最近、若手ブランドさんでもクリエイターさんにフィーチャーしたものが増えてきたけど、「やっと」って感じ。
あと、多分ね、「買って!!」って言うのが圧倒的にダサい!!!!
というか、ファッションの特性上、ダサいっぽいことをすると大抵ほんとダサい感じがする!!!

漫画家さん「単行本売れんとやばいwww買って!」←わかる
作家さん「新刊是非買って〜!!」←わかる
アイドル「オリコン目指してます!CD買ってください!」←わかる
パン屋さん「美味しいもの作りました是非買ってください」←わかる

デザイナー「自信作です、是非買ってください」←なんかダサい

なんかダサい!!!!なんだろねほんと!!!!!!!!!

あと、漫画家の人とかアイドルだと「生活きつい」とか言えるけど、デザイナーが言ってたらなんかダサいよね! デザイナーの人のプライドが高いだけかもしれないけど、あと実際稼いでる人多いからあれか、、、うん。

でも、デザイナーだって人間です。

どっかから出て湧いてきた水を飲んで、そこらへんに生えてるものを食べてる訳ではありません。毎日工場まで交通費を出して足を運び、スーパーで買い物しご飯を食べ、家賃を払って生きてるんですよ。

映像作家だってそうです。
何気なく映像を作ってるけど、それに対してのギャラで毎日ご飯を食べてるわけです。それで毎日映像を撮ってるわけです。

他のクリエイターももちろんそう。

つまり何が言いたいかって言うと、購買、つまり商品に対してお金をペイすることはつまりその人に今後の活動を続けていくための活動費をお布施してるということに違いないってこと。
そして、可愛いっていうだけ言って、買わない人は今後、そのブランドが作家がどうなっても「もう見れないのか残念」という権利はないということ。

それはみんな頭ではわかってるはずなんだけど、やっぱ、それが可視化されてないから実感として湧かない。だから、それを数字で、言葉で、目で見えるようにするということが『GOMI HAYAKAWA』のひとつの裏コンセプトとしてあります。

主催イベントでお金の流れを公開した意味

去年の『GOMI HAYAKAWA 〜RPG〜』ではクラウドファンディングをしました。
例えば、普段だったら映像の制作費だったりショーの金額の内訳なんて出すタイミングないじゃないですか。でもクラウドファンディングって全て内訳を出すことがひとつ協力者の方へのバックで、それは諸々の制作費を可視化するのにすごく適しているなと思い、クラウドファンディングを私は選びました。思ってた以上に盛り上がったのでありがたい限りでしたね。

つまり、そうやって金額を公開してあげることで、しっかり投資しているお金が実際プロダクトになって上がっているところを見せたかったんですね。
基本、お金の流れ的に、アパレルの場合ってそのままクリエイターさんのギャラに流れることが多いですが、それじゃ若い子とかわからないし、あまり投資しがいもないので、私のギャラを抜かない代わりに全て他クリエイションの制作費に回し『実際、お金が流れて新しいものができてる!』ってところを見やすくしてやりがい(投資しがい)が持てるようにしました。
まあ、製作者本人のギャラを抜かないってことはほんとお金持ってる人か、私みたいに一応まだ親の元にいる身だからできることだろうなと思ってます。
でも、ほんとはギャラ抜かないってことは、最初に言った《クリエイターへの投資》と少し矛盾している部分もあって。というのも、製作者本人にはなんせ1円も入ってませんからね(笑)。

こうやってお金の流れを少しでも可視化してあげることで、クリエイターさんの物を買うことが実際次へ繋がってる実感を少しでも持ってもらい、今後、クリエイターさんにお布施として購買することが当たり前になってきてくれればいいなと思ってます。

売上が立たないとブランドは消える

そして、実は今回のコレクションを持って『GOMI HAYAKAWA』は1年ほどお休みをいただく訳ですが、これもひとつドラマかなと思ってます。
一応、表向きにはクリエイションのレベルをあげるためと言ってて、実際それはあるんですけど、やっぱお休みしなければいけない一番の理由は《お金にならないから》なんですよ。正直私はこのブランドを非営利でやってるつもりではあるのですが、毎回、少ない私のギャラの中からウン十万の赤字を割いてやってます。

それじゃ続かないですよね?

私は『feast』っていう今イケイケなブランドも同時進行でやってるからそれで3回もこのコレクションを続けられたけど、やっぱ綺麗事抜きに難しいですよ。欲しいって言ってくれる人が多くても売上が立って黒字にならないと。
なので、今回の1年の休みの間に、「あ、売上が立たないと実際ブランドはこうやって消えてしまう可能性もあるのか」っていうのも身近に感じてもらえたらいいのかなとも思ってます。

これから、もっと服も簡単に作れてパクれるようになっていきます。
それは他のメディアもそうです、コピーが最も簡単に作れるようになってきています。そんな中、そのクリエイションを支えるのは人という力でありお金という持久力です。今後、物ではなく、人にお金を払うという意識の人が増えて来ない限りクリエイターは厳しいのかなとも思っています。そういった方向に少しでも振れていってくれるのを切に願っています。

ハヤカワ五味さん『twitter』
http://twitter.com/hayakawagomi [リンク]

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記者プロフィール

ハヤカワ五味

1995年生まれの18歳。東京出身、多摩美術大学グラフィックデザイン学科在学中。 高校1年生の頃からアクセサリー類の製作を始め、高校2年生の時にデザインフェスタに個人で出展。その時に販売した『キリトリ線ストッキング』が話題に。さらに2014年に立ち上げたランジェリーブランド『feast by GOMI HAYAKAWA』の告知ではツイートが計3万超を達成するなど、旋風を巻き起こしている。

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