結晶が生み出す幻想的な空間『吉岡徳仁-クリスタライズ』 世界的な作品を目の前に
世界のSWAROVSKIショップのコンセプト及び、銀座の「SWAROVSKI GINZA」、またブランド「ISSEY MIYAKE」のショップやau design projectの携帯電話iida「X-RAY」など、挙げればきりがないほど数多くのプロダクト、空間デザインを手がける、吉岡徳仁氏。透明感や光、結晶などの印象が強い吉岡氏の作品は国内のみならず海外からも多大な評価を得ており、幅広い分野で活躍されています。
そんな吉岡氏の作品世界に入り込むことが出来る展覧会『吉岡徳仁-クリスタライズ』が東京都現代美術館で開催中。本展は吉岡氏初の国内最大規模の個展となっており、都内で開催される機会も稀なため、これはまたとないチャンスとなっています。
入り口を入るとすぐ、ガラスのベンチ「Water block」が。波紋や水のきらめきをそのままに、水の塊を思わせる不思議な椅子。パリのオルセー美術館に、マネやドガ、モネ、セザンヌ、ルノワールといった印象派の作品群とともに常設展示されている作品を、ここでも間近に観ることができます。
次のエリアには、立体的に起伏のある“結晶の絵画”が壁に現れます。結晶絵画は、結晶の成長過程において音楽を聴かせ、曲の振動によって自然結晶の形状を変化させて生み出されます。今回展示されているのは、チャイコフスキーの「白鳥の湖」の曲を聴かせて誕生した『Swan Lake』。このエリア中央部には、水槽に入った成長のエネルギーを感じさせる結晶プロセスも展示されています。
結晶絵画エリアの先はストローで出来た、雲のような、または彗星の中に入りこんだかのような真っ白な空間に包み込まれます。
その幻想的な空間の中に現れる、結晶の薔薇。結晶がバラの花の周りを覆い、結晶体の成長過程でバラの花の色素を吸い上げ、ほんのりと色付いています。結晶が綴るバラの彫刻『ROSE』。
そして虹色の光が差し込む『Rainbow church』。500個ものクリスタルプリズムを集積したステンドグラスが、自然の光を鮮やかな虹色に変化させ、明るくまばゆい荘厳な空間を作り上げます。ここにはガラスのベンチ「Water fall」を設置。この虹の教会では、ガラスのベンチに座って、虹が降る光の空間を贅沢に堪能できます。
他にもフレームに糸を張り結晶化させることで生み出された椅子の彫刻や、パンを焼くように窯で焼き上げて作り出された、吉岡氏の代表作ともなっている椅子など、独創的な発想で生まれた作品を展示。
さらに今まで手がけたプロダクトデザインや国内外のインスタレーションの模様をまとめた「Movie」(40分+メイキング4分)も上映しています。吉岡氏の現在に至るまでの主な作品を一挙に、しかも海外の展示風景を動画で観ることができるのは嬉しいところ。Movie鑑賞は途中入場、途中退出が自由です。
また、アート作品とともに90年代から2014年までのデザインプロジェクトも展示されており、吉岡氏の軌跡も感じられる展示内容になっています。
「自然のエネルギーを結晶化し作品を生み出す」ことをテーマに作り上げられた本展『吉岡徳仁-クリスタライズ』は2014年1月19日まで開催。自然のエネルギーから形作られた結晶の、息を呑むような美しさをぜひ感じてみてみてください。
【吉岡徳仁ークリスタライズ】
開催期間:2014年1月19日まで
開催場所:東京都現代美術館
料金:
一般 1100円/ 大学生・65歳以上 800円(640円)/ 中高生 600円(480円)/小学生以下無料
■休館日 月曜日(ただし2014/1/13は開館)、2014/1/14
詳細:www.mot-art-museum.jp