“人工知能型OS”との恋物語から感じるのはド直球の愛! 映画『her/世界でひとつの彼女』
『マルコヴィッチの穴』『かいじゅうたちのいるところ』のスパイク・ジョーンズ監督4年ぶりの長編最新作『her/世界でひとつの彼女』が6月28日より公開となります。
『her/世界でひとつの彼女』の舞台はそう遠くない未来のロサンゼルス。ある日セオドア(ホアキン・フェニックス)が最新型のAI(人工知能)型OSを起動させると、画面の奥から明るい女性の声が聞こえる。彼女の名前はサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)。AIだけどユーモラスで、純真で、セクシーで、誰より人間らしい。セオドアとサマンサはすぐに仲良くなり、夜寝る前に会話をしたり、デートをしたり、旅行をしたり……。
一緒に過ごす時間はお互いにとっていままでにないくらい新鮮で刺激的。ありえないはずの恋だったが、親友エイミーの後押しもあり、セオドアは恋人としてサマンサと真剣に向き合うことを決意。しかし感情的で繊細な彼女は彼を次第に翻弄するようになり、そして彼女のある計画により恋は予想外な展開へ。一人(セオドア)とひとつ(サマンサ)の恋のゆくえは果たして?
本作は第86回アカデミー賞で脚本賞受賞し、5部門にノミネート、ナショナル・ボード・オブ・レビュー最優秀作品賞・監督賞を受賞するなど、数々の映画賞を席巻、多面的に高い評価を得ています。
一人でいる様に見えても、彼はサマンサとデート中。
一人でいる様に見えても、彼はサマンサと旅行中。
“ひとり”と“ひとつ”の恋という、まったく新しいストーリーを構築した本作。しかし、この物語で描かれているのは、これまで私たちが悩み、慈しみ、育み続けてきた普遍的な愛。劇中のセオドアは、サマンサを端末に入れてデートをしているとき、とても幸せそうな表情を見せます。それは相手が人間であっても変わることのない笑顔です。
その一方で、サマンサと気持ちが通じていない時には、共に悩み、その打開策を2人でみつけようとします。私たち人間には表情や身振り手振りで気持ちを伝える方法もありますが、サマンサには声しかありません。彼女はセオドアにストレートな自分の気持ちを言葉で伝えることで愛を見せるのです。それは様々なツールが溢れている現代の私たちが無くしかけている、コミュニケーションのとてもシンプルな形ではないでしょうか。
スパイク・ジョーンズはこの物語の着想になった元について
「テクノロジーは明らかに僕らの生活にとって、もっと確かに言えば僕の生活にとって大きな存在になっている。どれだけ日常のコミュニケーションがテクノロジーを会したものになっているか、僕は考えるんだ。それは感情的な経験でもあるね。ほら、メッセージを受け取った時には”誰かが僕のことを考えてる”って感じるじゃない」
とコメント。
さらに、この映画は繋がりと愛の物語だとスパイクは言っています。
「この映画には色々なハイコンセプトなアイデアが含まれているけど、結局は主にリレーションシップ(人間関係・恋愛)についての映画なんだ。愛についての映画であり、僕らには繋がりと、その繋がるための方法が必要だっていうことについて言っている。でもこの映画のハート(中心)はリレーションシップ(人間関係・恋愛)なんだ。皆がリレーションシップ(人間関係・恋愛)に持ち込む、望み(Want)と必要(Need)と恐れ(Fear)を描こうとしているんだよ。テクノロジーは僕らを近づけることもあれば、遠ざけることもある。でもそれはこの映画の趣旨じゃない。互いにかかわりを持つこと、繋がることへの恋しさ、繋がれないこと、親密になることの恐ろしさ、そういう他の人間に抱く感情すべてについての映画なんだ」
今の時代だからこそ誕生した、ラブストーリーの新たな金字塔はぜひスクリーンで。人口知能のOSに恋をするなんて、“Siri”とすぐお友達になっちゃう日本人にはすごく親しみやすいストーリーだと思いませんか?
『her/世界でひとつの彼女』
監督&脚本:スパイク・ジョーンズ
出演:ホアキン・フェニックス エイミー・アダムス ルーニー・マーラ オリヴィア・ワイルド スカーレット・ヨハンソン
http://her.asmik-ace.co.jp
(C)Photo courtesy of Warner Bros. Pictures