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Nov 21 2024

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【シネマ部】チリ映画『NO』広告マン役がクール&クレバー! ガエル・ガルシア・ベルナルをより堪能するための3本

ヒューマントラストシネマ有楽町などで上映中のチリ映画『NO』。1998年のピノチェト政権下のチリで政権の信任継続を問う国民投票で、反対派のキャンペーンを主導した広告マン・レネをガエル・ガルシア・ベルナルが好演。不穏な空気の街をスケボーで颯爽と移動したり、堅物そうな左派活動家に対して「このままでは勝てません」と言い放ってポップで明るいCMをプレゼンしたり、とにかくクールかつクレバー。それでいて息子に対してはやさしい表情を見せたり、時には対立陣営にいる上司と丁々発止のやり取りを繰り広げたり、彼の魅力を詰め込んだ作品といっても過言ではないでしょう。

2000年の『アモーレス・ペロス』でメキシコ映画が日本に紹介されるきっかけとなったガエルも35歳。スペイン語圏だけでなく、『ジュリエットからの手紙』(2010年)や『私だけのハッピー・エンディング』(2011年)など、アメリカ映画にも出演するなど、スパニッシュ系の代表的な俳優として活躍中。少年の匂いが残るナイーブな役柄からチェ・ゲバラのような歴史上の人物まで、さまざまな役柄をこなしています。ここでは、そんなガエルをより堪能するための3本を独断と偏見で選んでご紹介します。

青春と呼ぶにはビターすぎる『天国の口、終りの楽園。』

のちに『トゥモロー・ワールド』(2006年)『ゼロ・グラビティ』(2013年)を手がける名監督アルフォンソ・キュアロンが、2001年にメキシコ人キャストで制作したロードムービー。
ガエル演じる17歳のフリオと、ディエゴ・ルナが扮する有力政治家の息子テノッチが送る享楽的な日々。そこに現れた美しいスペイン人の女性ルイサ(マリベル・ヴェルドゥ)と「天国の口」に向かうべく車を走らせる中、メキシコのさまざまな情景が活写されます。しかし、強い日差しの太陽のような空気は次第に陰っていき……。フリオとディエゴにとっては黒歴史としかいいようのない一夜を経て、旅が終わった後に明かされるルイサの運命。青春と呼ぶにはビターすぎるラストのガエルの表情は一度見れば忘れられないのではないでしょうか。

パリにやってきた”不思議クン” 『恋愛睡眠のすすめ』

キュートかつファニーなガエルの別の一面を見るには、なんといっても『恋愛睡眠のすすめ』(2006年)でしょう。
母の住むパリにやってきたステファンが、仕事や生活に馴染むことができずに自分の世界に逃げ込んでいるうちに、隣人のステファニーにラブレターを出していて……というストーリー。展開されるステファンの夢や不可思議なセリフが可笑しいのですが、当人は至ってマジメだというあたり、ガエルが自然に演じているあたりがポイント。ステファニーを演じるシャルロット・ゲンズブールが、いかにもフランスの女という雰囲気なのも好対照となっています。かわいらしいフランス映画を観たい、という際にもおすすめです。

自己正当化がヤバい…… 『アマロ神父の罪』

社会派な作品や、史実を題材にさた作品にも数多く出演しているガエルですが、スキャンダラスという意味では2002年に公開されたカルロス・カレラ監督の『アマロ神父の罪』が一番でしょう。カトリック教会の退廃やマフィアとの関係といったタブーを描き、上映当時メキシコや本国で暴動も発生したという大問題作です。
ガエルが扮したのは、理想に燃えて教会入りしながらも、16歳の少女アメリア(アナ・クラウディア・タランコン)との愛欲に溺れていくアマロ神父。純粋なように見えて、教会内の出世を気にする狡猾な部分もあるという複雑な役を演じきっています。ここで戒律や理念と自己の欲望の折り合いをつけて正当化していくセリフが端正な容貌から次々と発せられるあたり、人間の底知れぬ奥深さを感じ取ることもできるはず。ガエルのファンならば絶対に外せない一本です。

映画『NO』公式サイト
http://www.magichour.co.jp/no/ [リンク]

(c)2012 Paramount Media No Holdings.LLC

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記者プロフィール

ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営。ネット、メディア、カルチャー情報を中心に各媒体にいろいろ書いています。好物はホットケーキとプリンと女性ファッション誌。

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