「朝辛い」「なかなか理解されない」 マンガ『大学生の俺がいとこの女の子を幸せにするまで』で描かれる起立性調節障害とは?
『ドラドラしゃーぷ#』(KADOKAWA)で『今日から使える薬学的お世話』が連載中の最上工路さん(@mogamicoji)がTwitterで更新を続けているマンガ『大学生の俺がいとこの女の子を幸せにするまで』。数年ぶりに伯父の家を訪れて、一人で留守番をしていた従兄妹の明日菜が明らかに異常に怯えていて、自分が住むアパートまで連れて帰るというストーリーで、「続きが気になる」「守護らねばならぬ」といった感想が多数寄せられています。
ここでは、第11話から15話までを紹介。最上さんにはこのマンガを描き続けている理由をお訊きしました。
大学生の俺がいとこの女の子を幸せにするまで⑪ pic.twitter.com/2O3hl6IpVC
— 最上工路@薬世話2巻発売決定 (@mogamicoji) April 24, 2022
ありあわせのもので作ったお茶漬けを泣きながら「おいしい」と食べて、傷だらけの身体を手当てしてもらった明日菜ですが、翌朝に苦しそうな様子。伯父の家にある血圧を上げる薬を飲ませると症状が落ち着き、彼女自身から「起立性調節障害」であると語られ、学校にも行けてないことが判明します。「明日菜を助けたい」と強く思った「俺」は、一緒にお出かけをすることにします。
一日ゆっくり休んで体調が良さそうなので、「明日菜、どこに行きたい?」と聞くと「えっと…洋服屋さん! あ…でも…めまいとか大丈夫かな…」と不安そう。「ふらつくだろ?俺の腕に掴まってるんだぞ」と手を差し伸べると、「…うん!」と嬉しそうな笑顔を見せてくれました。
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— 最上工路@薬世話2巻発売決定 (@mogamicoji) May 1, 2022
ショッピングモールまで行き、本当に楽しそうにしている明日菜。「ずっとこの笑顔でいて欲しい」と思っていますが、ここで明日菜がさっと背中に隠れてしまい、視線の先を追うとチャラそうな男性に寄り付く女性が。それが明日菜の母親=伯母さんだと気づき、あまりに様変わりしてしまって驚きますが、明日菜が「お、お母さん…」と怯えきった表情になってしまいます。
大学生の俺がいとこの女の子を幸せにするまで⑬ pic.twitter.com/bkV76aXpu2
— 最上工路@薬世話2巻発売決定 (@mogamicoji) May 10, 2022
「もう旦那の酷さったら!朝から飲んでばっか!娘も体調悪いフリしてさー、学校行きたくないとか我儘言うしー」と愚痴を言っているのを耳にして、「そこまで言うのならっ、明日菜を俺に預からせてください!!」と頭を下げつつ、「伯母さん、アンタが明日菜を…!」と顔を歪ませて怒りを堪えていると……。
大学生の俺がいとこの女の子を幸せにするまで⑭ pic.twitter.com/tTHXhHzh5c
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「はあっ!? 誰よアンタ…」と言いかけて甥だと気づき、「ひ、久しぶり〜!明日菜と遊んでくれてありがと!」と手のひら返す伯母さん。「これで2人で美味しいものでも食べてよ」と万札を差し出して、「あと…お願いだからこのことはお父さん達にはナイショでね。ね?明日菜も」と耳打ち。「いや!これは受け取れませー」と拒もうとしますが、明日菜がしゃがみこんでしまい、そんな娘に見向きもせず背を向けて伯母さんは男と足早に去っていきます。
大学生の俺がいとこの女の子を幸せにするまで⑮ pic.twitter.com/Wjqb5Pkrul
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ベンチで休んで「―明日菜、大丈夫か?」「…うん、ありがとうお兄ちゃん」と低血圧が治まり、「お母さん、昔はあんなじゃなかったの」と話しはじめる明日菜。「お父さんの雑貨屋さんが潰れちゃって…。それからお母さんが夜に働きに行くようになったんだけど…。どんどんお母さん派手になっていって…。その頃からかな…、2人が仲悪くなっちゃったのは。お父さんはお酒ばかり飲むようになって何もしないし…。お母さんは……私に手を上げるようになった……」と語ります。
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— 最上工路@薬世話2巻発売決定 (@mogamicoji) May 23, 2022
最上さんの妻の実体験をもとにしているという『大学生の俺がいとこの女の子を幸せにするまで』。「妻は中学生の頃に起立性調節障害と診断され、今も症状が続いています」と話し、未だに過去の記憶がフラッシュバックして過呼吸発作などに苦しんでいるといいます。
薬剤師でもある最上さんは、起立性調節障害(OD)について「小学校高学年から中学にかけて発症しやすい自律神経失調症のひとつで、特に起床時など体位が変化する時に頭痛、めまい、血圧低下、心拍数上昇などが起こる病気です。妻は毎朝頭痛とめまいで中々起きられず、学校も休みがちだったり、体調が悪く早退することも多かったそうです」といい、「この疾患はあまり認知されておらず、妻も当時は周りからなかなか理解を得られず苦労したと話していました。少しでも多くの方にこの病気について知ってもらえたならと思い、この漫画を描き始めました」と語ります。
実体験をもとにしたストーリーだと知った読者からの驚きの声が多数寄せられていたほか、明日菜の両親について「同情はするけど子どもに暴力を振るっていいわけがない」「しわ寄せが子どもに向かうのは辛い」といった感想が寄せられていたこのマンガ。実際にこの病気を患った人からは「朝辛いのはすごくよくわかる」「立ち上がるのが出来ないほどの頭痛で、一般的な生活を送るのが困難なほど」「理解してくれる人がなかなかいない」といった声が上がっています。
最上さんは「多くの方々から、ヒロインの明日菜や主人公の“俺”を応援して頂けて、作者としても嬉しいですし、この病気について知って頂ける機会になっているのであればなおさらです」といい、起立性調節障害の患者や経験者からの共感の反応について「妻と同じ悩みを抱えている方がたくさんいらっしゃるのだなと感じています」と話してくれました。
「これからも『大学生の俺がいとこの女の子を幸せにするまで』は連載していきますので、ぜひ結末までお読みいただけたら嬉しいです」という最上さんですが、『今日から使える薬学的お世話』第2巻が2022年6月9日に刊行予定となっており、「こちらもぜひお手元に置いていただけたなら幸いです」とのこと。ダメダメな薬学生の夏目博人と、同級生で大手製薬会社の令嬢・柊紫苑が織りなすラブコメにも合わせて注目です。
『今日から使える薬学的お世話』(ニコニコ漫画)
https://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/46243 [リンク]
※画像はTwitterより
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