「悩んでいる人が多いので励ましになればと」 匂わせ投稿をしていた漫画家を助けに来たSNS探偵のマンガに「目から汗」の声
『ヤンマガWeb』(講談社)で連載中のカレーとネコさん(@kareneko02)原作・馬酔髙さん作画のマンガ『SNS探偵オノノキツカサ』。SNSを駆使して人の心の闇を暴き出していくオノノキの活躍が描かれていますが、カレーとネコさんがTwitterで「悩める漫画家を救え」を公開。飛び降りを決意した漫画家とオオノキの緊張感ある会話と意外性のある展開に「目から汗」「めっちゃ良い」といった声が寄せられていました。
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— カレーとネコ@オノノキ1巻6月20日! (@kareneko02) June 14, 2022
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「全人類へ。私の作品が理解されないこの世界に疲れました。今から死にま〜す♡」とスマホでツイートし、靴を脱いでビルの縁に立った女性。ですが、背中越しに「高さが足りんな」と声がかかります。
振り向いたところには、「このマンションは6階で下には植え込み。25%で未遂に終わる」と指摘しながら持参したパイプ椅子を組み立てる男が。オオノキはスマホ片手に「こんにちは。お前を助けに来た」と挨拶します。
無言のままの女性に「漫画家”ヨビノ”28歳。SNSを散策してたら陰鬱なツイートを連投している奴がいた。それがお前だ」とスマホを向け、「消えたい…」「私が○んだらニュースになってマンガ読んでもらえるかな…」といったツイートを「膨大な自殺の匂わせ、恐れ入る」と評するオオノキ。さらに「…そしてここ数日はイラストを毎日投稿。人物+植物のイラスト、重要なのは植物だ」といい、「五斂子、四手、三つ葉のクローバー。自殺へのカウントダウン」と指摘します。
「そして、最後“一人静”のイラストに描かれた人物、その服にこのマンション”大崎ハイツ”の文字」という匂わせを喝破するオオノキに、ヨビノは「大崎ハイツなんてよくある名前よ。この街のだってなぜわかるの?」と尋ねます。オオノキは「お前の漫画の背景、あれはこの街の写真を加工したものだ。加工が甘く実際の風景に近かった…。特徴ある建物から特定は容易である」といいます。
「…よく気付いたね」と少し笑ったヨビノに、「死ぬ気ないだろ? だから俺も余裕で見てられる」とオオノキ。「漫画がうまくいかないのか? 見たらお前の漫画に毎回リプくれるファンもいるじゃないか」と言うと、視線をそらされます。それを見て「ではこうしよう」と指を立てたオオノキは、「お前が漫画をSNSにあげるたび必ずいいねとRTをする。お前のアカウントに表示される1という絶対的な数字。生涯お前に捧げよう。お前の承認欲求を満たす為尽力する」と提案。それだけでなく、「漫画が雑誌に載ればたとえ豪雨に見舞われても発売日に購入しよう。感想も送るしアンケートにも協力する。編集部へのファンレターを送るのも辞さないし、布教活動にも糸目をつけない」と夢のような条件を続けます。
「だから死のうと考えるな。降りてこいヨビノ」というオオノキ。「ありがとう」と表情をやわらげたヨビノですが、「けれどあなたは見誤った」といいつま先を上げて、「死ぬ気がないというのは間違い。私ね、誰かの前で満たされた状態で、死にたかったの」と背中から落ちていきます。慌ててパイプ椅子から立ち上がって手を伸ばしたオオノキ……。
気がつくと仰向けに床に大の字になっていたヨビノ。「…私生きてるじゃん」という横で荒い息になっていたオオノキは「ば…馬鹿野郎!!」と悪態をつき、「ギリギリ足を掴めたからよかったものの…、お前がここまでブッ飛んだ奴だとは計算外だ…」と愚痴を言いますが、「しかし、今日お前は一度死んだ。もう怖いものは無いさ」と続けます。
「何で私なんかにここまでするの?」とヨビノに訊かれて、「お前ってアホだなぁ。まだわからない?」とニヒルに笑いかけたオオノキ。ヨビノは「お前の漫画に毎回リプくれるファンもいるじゃないか」という言葉を反芻して、「…あ」と起き上がります。背中を向けて腕を挙げたオオノキから「次の漫画も楽しみだ」と言われて、ヨビノは瞳からこぼれる涙を抑えきれずに笑うのでした。
2022年6月20日に単行本第1巻が刊行となる『SNS探偵オノノキツカサ』。カレーとネコさんによると、「バズったツイートなどで明らかに作り話のようなものが流れてくる事があると思うのですが、そういった投稿に対して実際に裏を取りに行く人間の漫画を描いたら面白そうだなと思ったのがきっかけ」でストーリーを思いつき、「じゃあいっそのこと“探偵”ということにして、主人公も少し意地悪な顔をしてる人にしよう…と膨らませていきました」とオオノキ像を構想したといいます。
このマンガでは、「SNS」と「承認欲求」がキーワードとして出てきます。カレーとネコさんは「承認欲求は誰しも持っているものですし、今の時代はSNSという場所でそれを満たすというのは当たり前の行為だと思います」としつつ、「その行為に他者が関わっているいうのを忘れてしまうと、人としてのバランスを逸してしまうので、多くの人と繋がれる場所だからこそ気を付けて付き合っていきたいと考えています」と語ってくれました。
ヨビノのエピソードについて「創作する方をSNSでフォローする事が多いのですが、面白いものを作られる方でも、上手くいかず悩んでいる方は多いです。そういう方への励ましになればいいなという気持ちと、自分の漫画を好きでいてくれる人を忘れないようにしたいという理由で描きました」というカレーとネコさん。「創作する方から”この気持ち忘れないようにしないと”というようなコメントを頂けて、“少しは励ましになったかな”と思い嬉しくなりました」と話します。
裏アカをもつ高校生や行方不明になるVtuberなど、ビビッドな内容が盛り込まれている『SNS探偵オノノキツカサ』。「SNSという身近なものが題材なので、多くの方に読んでいただける内容になっていると思います。書店やWebで見かけました際にはぜひ手に取っていただきたいです」とのことなので要注目です。
本編はこちらですhttps://t.co/XinytM496w
— カレーとネコ@オノノキ1巻6月20日! (@kareneko02) June 14, 2022
※画像はTwitterより
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