キャットストリートでモデルを撮影⇒即換金!? 体験型ファッションイベント『EN ROUTE THE SNAP UP』レポート
UNITED ARROWS(ユナイテッド・アローズ)の新ブランド『EN ROUTE』(アン・ルート)が、2014年9月6日の『VOGUE FASHION’S NIGHT OUT』に合わせて、参加型ファッションイベント『EN ROUTE THE SNAP UP』を原宿・表参道・青山エリアで敢行。2014秋冬コレクションに身を包んだモデルがストリートに繰り出し、その模様を『iPhone』で撮影する一般の参加者が取り囲む光景を随所で見ることができました。
モード感があり、洗練された印象を見る側に与える『EN ROUTE』。メンズ・レディースともシンプルでシックもしくはモノトーンなアイテムは、スポーツ用の機能性のある素材を使っているものもあり、街歩きを意識したものになっています。
『EN ROUTE』クリエイティブディレクター・沼田真親氏は「東京で楽しく暮らすために、一番おしゃればものを提供したい」といい、「これからの東京のライフスタイルを考えた時に、心と身体の健康な状態にあるということがこれまで以上に重要になってくる。そういった要素とファッションを共存させようというのが『EN ROUTE』のコンセプト」と説明。そのラインナップに自信を示します。
『EN ROUTE THE SNAP UP』では、事前にアプリをダウンロードした『iPhone』ユーザーが参加可能。アプリを立ち上げると、地図上にモデルがいる位置が示されます。これはiOS7より採用された近距離通信技術iBeacon(アイビーコン)を活用することによりリアルタイムでの表示を実現しており、近づくとアラートが鳴るギミックも。
今回のイベントを仕掛けたひとりでもある株式会社PARTY代表の伊藤直樹氏は「『EN ROUTE』はON THE WAY(道の上で)という意味で、都市を舞台にしたブランド。デジタルを使うことによっていろいろな人が見たり参加できるクラウドソーシングのファッションショーを道の上でやろう、ということになりました」とその挑戦的なイベントの意図を話し、「馴染みのない技術をフレッシュに体感してもらって、ブランドに共感してもらう機会になればいいですね」と、テクノロジーとファッションとの融合の可能性を示します。
モデルを見つけた参加者は、周りを取り囲んで『iPhone』を向けてパシャパシャ。撮影した画像は瞬時にアプリによって共有されます。
参加者によって撮られた画像は、神宮前キャットストリート沿いにあるDistrict UNITED ARROWSの中に設置されたビジョンで沼田氏が把握し、その場で購入作品を次々にチョイス。
一枚あたり1000円で購入された画像は、アプリでもすぐに通知されます。その値段も表示されるので、ちょっとした賞金稼ぎ気分に。
モデルと同じく、どこにいるのか地図上に表示される”キャッシャーマン”(CASHIER MAN)を探しだして換金。ポイントではなく、夏目漱石のお札をその場でちゃんと渡してくれました。撮影してからお金を貰えるまで5~10分というスピード感。実質的にショービスのカメラマンと同列に扱われているあたりも嬉しいところなのではないでしょうか。
「自分たちの提案したいスタイルは、限られたランウェイで完結するようなものではない。リアリティのある場所で表現したい」とその狙いを話す沼田氏。伊藤氏も「スマホやアプリで身体データを取り健康管理していくというのがトレンドなので、自転車や洋服にセンサーを付けていく流れが出てくるのでは。リングやボタン、バッジに搭載できるくらい小さいものになっていくと、よりファッションと仲良くできると思います」とテクノロジーの進化が服のあり方を拡げていく可能性を示します。
「ファッションショーは購買する層と一番距離がある。今回はそれを近づけるための仕掛け。街で暮らしているお客様にどうアプローチしていくのかを工夫したい。テクノロジーは日進月歩で変わっていくから、そこから何か新しいアイディアが生まれるかもしれない」(沼田氏)と、今後の展開にも含みをもたせている『EN ROUTE』。拡張されたファッションショーとして、今回の取り組みが業界に与える影響は小さくなさそうです。
EN ROUTE(アンルート)
http://enroute.tokyo/teaser/ [リンク]