映画『Mommy/マミー』の「インスタグラム・アスペクト」の秘密とは? ドランのミニドキュメンタリー公開
『マイ・マザー』、『胸騒ぎの恋人』で鮮烈なデビュー。『わたしはロランス』、『トム・アット・ザ・ファーム』とデビュー以来全作品がカンヌ国際映画祭、ベネチア国際映画祭へ出品され、早くも三大映画祭の常連になっている、映画界の美しき天才グザヴィエ・ドラン。待望の新作『Mommy/マミー』が4月25日より公開となります。
『Mommy/マミー』は、架空の国“カナダ”で起こったユーモラスな親子の日常を舞台に、全宇宙共通のテーマ「母と子」の深い愛情と葛藤を描いた作品。若いほとばしりと成熟の両局面 を醸し出す心の描写で「涙のクライマックスが2回来る」と絶賛されています。
現在公式サイトでは本作を理解する上で非常に重要な要素となる、グザヴィエ・ドランの描写スタイルの凄味が解る約10分間のミニドキュメンタリー『グザヴィエ・ドランのスタイル』が公開中。1:1の「インスタグラム・アスペクト」を採用した理由などが明らかにされています。
【「インスタグラム・アスペクト(1:1)」の秘密とは?】
グザヴィエ・ドランの映像技法の一つとして、画角の工夫が挙げられます。今回採用された1:1のアスペクト比は、主人公の個を強調するポートレイトショットとして有効な画角 です。余計なものが足せない分キャラクターが主役になり、観客の視線を集中させることができます。
【画角の変化は登場人物の心の動きとの同調】
グザヴィエ・ドランの前作『トム・アット・ザ・ファーム』では、人物の恐怖のピークに合わせて画面の縦幅を狭めていくシーンがあります。意図的に画角を変化させることで人物 の心の動きと観客の心情を同調させる効果をもたらしています。
【ドラン独特の背面ショットは「劇中人物との目線の同一化」】
グザヴィエ・ドラン特有の、映像の切り取り方の一つとして、登場人物の背面から撮る ショットがあります。これは、劇中の人物と同じ目線を持つことで、彼らの視点や気持ち を追えるという効果をもたらします。ちなみに、カンヌ国際映画祭表彰式における象徴的 なフォトセッション画像も、ドラン本人は背中を向けています。
【孤立感を表現するカメラと人物の距離】
登場人物の思考や願望、特に不安を描く為の手段として、カメラと人物の絶妙な距離感を設けているのも、グザヴィエ・ ドラン特有の映像技法と言えます。玄関や廊下などの空間的要素を駆使しながら、距離感をコントロールすることで、人物の孤独感を描写しています。
その他にも、画面構成やスローモーションの使い方、カメラの視点など、一見ランダムに見えながら実は考え抜かれた表現が使われているグザヴィエ・ドランの作品。今回公開されるドキュメンタリーは、彼の映像技法や描写方法の凄味 が解説されており、グザヴィエ・ドランが映画界の若き救世主と呼ばれる所以が解る内容となっているので必見です。
グザヴィエ・ドランのスタイル<ミニ・ドキュメンタリー>
https://www.youtube.com/watch?v=eqFixRJLCqM
『Mommy/マミー』
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワン=オリヴィエ・ピロン
配給:ピクチャーズデプト
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