朝ドラ&ハイボール人気で品薄!? いまこそジャパニーズウイスキー入門
先日、取材で出かけた六本木のお店で聞きました、
「『マッサン』の影響か、日本のウイスキーがよく出ますね」。
ウイスキーというと“ダンディな紳士が、氷をカランコロンいわせながら嗜むもの”というイメージだったが(古い!?)、実は身近に浸透してきているよう。そういえば、テレビCMでタレントさんがおいしそうにグラスを傾けていたり、居酒屋でいろんなバリエーションが楽しめるハイボールも、ウイスキーがベース!
ならば、この人気に便乗して、ジャパニーズウイスキーについて知ってみるもの悪くないはず。ジャパニーズウイスキーファンが通うショットバー「ゾートロープ」のバーテンダーであり、竹鶴アンバサダーにも認定されている堀上敦さんに、楽しく、おいしく飲むコツを教えてもらった。
※暗い店内で撮ったため、どの写真も非常に暗いです。店内のリアルな雰囲気をお楽しみください
STEP01 What is ジャパニーズウイスキー?
ジャパニーズウイスキーは、1923年にサントリーの創業者が京都・山崎に蒸溜所を造ったのが始まり。現在は、全国にある約10か所の蒸溜所で造られています。驚くのはその数、300種類以上の銘柄があること。ジャパニーズウイスキーは、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダとともに世界の五大ウイスキーと呼ばれ、世界的な品評会でも多くの賞を受賞! 高く評価されています。それなのに、日本人(筆者)は、ジャパニーズウイスキーをよく知らないうえに、妙なレッテルを貼っていたのかも、と気づかされます。
ちなみに、ウイスキーは「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」の2種類がある。モルトウイスキーは大麦麦芽で造られ、グレーンウイスキーはトウモロコシなどの穀類で造られている。モルトウイスキーはシングルモルトウイスキー(一つの蒸溜所のモルト原酒のみで造られている)とブレンデッドモルト(ピュアモルト)ウイスキー(複数の蒸溜所のモルトウイスキーから造られている)に分けられ、さらにモルトウイスキーとグレーンウイスキーを合わせるとブレンデッドウイスキーになる。
堀上さん曰く「私が成人した頃は、周囲もみんな、当たり前のようにウイスキーを飲んでいました。味が云々の前に、そういう雰囲気だったんです」。
平社員は「トリス」、係長になると「角」、課長は「オールド」、部長クラスまで出世すると「リザーブ」なんてヒエラルキーもあったとか……。記念日や特別な日には、平社員が奮発して「リザーブ」を飲む! とか。日本人にとってウイスキーはとっても身近なお酒で、なんだか楽しそうだと思いませんか?
STEP02 ウイスキーの飲み方&マナー
ウイスキーを飲むとき、「小難しいマナーは一切ない」と堀上さん。ただ、ちょっといいウイスキーを「コーラやジンジャーエールで割ってしまうのは“もったいない”」とのこと。ウイスキーは香りも楽しむものなので、香りが強いもので割ると台無しに。マナーではないが、知っておくとスマート。
また、ウイスキー=スモーキーという固定概念は捨ててOK。『マッサン』でも何度も登場していたスモーキーフレーバー(煙くささ)、実は、苦手とする日本人も多いそう。なので、(カッコつけて)最初からスモーキーなものを選ぶことはない! ジャパニーズウイスキーの中には、穏やかな香りのものも多いので、香りがソフトなものから飲んでみては。
STEP03 ジャパニーズウイスキーを飲んでみよう その①家飲みのコツ
スコットランドではストレートや常温の水割りが、アメリカではストレートやロックが好まれるそう。けれど日本では、ストレート、ロック、水割り、お湯割り、ソーダ割りなどなど、いろんな飲み方をします。それは「邪道ではなく、いろんな楽しみ方をするだけのこと」と堀上さん。何でもOK! それがジャパニーズウイスキーの楽しみ方の前提。
ストレートやロック、水割りを家で飲むときには、うすはりグラスなど飲み口が薄いグラスをチョイスしたい。香りや味を感じやすくなるそう。ウイスキー専用のテイスティンググラスもあるが、グラスの中で香りがこもる点からワイングラスを代用するのもアリ。
ウイスキーを炭酸水で割るハイボールなら、ステンレス製など金属製のグラスを使うと清涼感が増してスッキリとした味わいが強調される。レモンの皮だけを絞って香りを付けたり、フレッシュミントを浮かべると女子も飲みやすいのでは。
氷は自宅の冷蔵庫のものでなく、今や100円ショップでも買える透明なもの(溶けにくいので)を使って。
STEP04 ジャパニーズウイスキーを飲んでみよう その②おすすめおつまみ
ウイスキーと相性のいいおつまみといえば、チョコレート、ドライフルーツ、ナッツが定番。加えて、ジャパニーズウイスキーの場合は、塩ようかん、甘納豆、生八つ橋(の皮)など甘味も好相性!
「塩辛はムリっぽいけど、抹茶のお菓子のような“渋甘い”ものはイケるはず」と堀上さん。いろんなおつまみを試して、好みの組み合わせを探してみるのも楽しそう。
営業前の取材中にも、外国人のお客さんがお店に。日本のよきウイスキーを独占されるのは、あまりにももったいない! 近頃は専門店でも入手困難なものが増え、品薄状態が続いているのだとか。日本が誇るジャパニーズウイスキー、一度お試しを。
お店情報
Shot Bar ゾートロープ
住所:東京都新宿区西新宿7-10-14 ガイアビル④ 3F
電話番号:03-3363-0162
営業時間:19:00~翌4:00(LO翌3:30)
定休日:日曜・祝日
書いた人:近藤由美
1980年生まれ。岐阜県出身。食べることが大好き、作るのはちょっと好きな編集兼ライター。農林水産省「食のオフィシェ」。レストラン紹介MOOKの制作に長く携わり、その間にストックしたレストラン情報はのべ3,000軒以上で、現在も増加中。