【生ガキ】オイスターバーはこうして楽しめ!東京「オストレア」にはカキの楽しみ方がこんなにもあった
「オイスターバーって、ちょっと敷居が高いんですよねー、なんとなく」
担当Mが私にそう語ったことから、この企画は始まった。
そんなことは全然ないッ!!
むしろカキが好きなら積極的に行くべきだ。
カキ好きフードライターの私は声を大にして言いたい!
そしてまず「敷居が高い」という表現から誤用である。
まめちしき 敷居が高い:「不義理・不面目なことがあって、その人の家に行きにくいこと」(大辞林)例文:「ツケがたまってるんで、あのスナックは今ちょっと敷居が高いんだよ」。「高級そう、上品すぎてちょっと……」みたいな意味で入りにくい、は本来の意味ではない
それはともかく!
カキ好きにもかかわらず、オイスターバーを敬遠するのは実にもったいないこと。ここは信頼しているオイスターバーの匠に楽しみ方をレクチャーしてもらおう!
生ガキには「さわやか系」と「こってり系」がある!
今回ご教授いただくのはカキの国の水先案内人・小澤さん!
小澤将生(おざわまさき)さん。株式会社バルジャパン第一店舗運営部部長。
銀座や新宿、新橋など都内に7店舗のオイスターバー「オストレア」を経営する会社の部長さん。カキのことならなんでもござれのミスター・オイスター。
さっそくオイスターバーの楽しみ方、教えてください!
やっぱり第一に、生ガキを味わう楽しさを知ってほしいですね。鮮度と状態が良いものを提供するのはオイスターバーの基本ですから。そして、産地によってこんなにも味わいが違うんだ、ということを知ってほしいです。そこからカキにハマる人は多いと思いますよ。
ざっくり言って、カキの味わいには「さわやか系」と「こってり系」があると思ってほしい。昭和的にいうと醤油顔のカキとソース顔のカキがいるようなものだ。違う。ともかく、さっぱり食べやすいカキと、濃厚ミルキー系のカキ、おおまかに2つに分かれるんである!
まず写真の2つはさっぱり系です。左のニュージーランド産「カイパラオイスター」はさわやかな甘みと、すっきりした後味が特徴。右の日本産「八朔カキ」は兵庫県室津のものです。こちらの食べごろは夏の終わりぐらいから。つまり早めに味がのってくる種類のカキなんですよ。カキの旬というと寒いころだけのもの、と思われている方も多いと思いますが、最近では晩夏から楽しめるものや、一年中出荷されているところもあるんです。
おおお、この「カイパラオイスター」、5㎝ちょっとの大きさながら味わいしっかり! 海の味がするなあ…。身は小さくても貝柱がしっかりしていて、噛みしめると独特の甘みが感じられる。「八朔カキ」はごくさっぱり、良い意味でクセがない。すんごく食べやすいので「生ガキはあまり得意じゃなくて……」という人は、これから入るのがいいかも?
※お店で提供されるカキの種類は季節によって異なりますのでご了承下さい
さて、今度はこってりチームですよ! 左の「ピュージェットサウンド」はアメリカ・ワシントン州の海岸の名前がついたものです。うま味はマイルドながらフルーティな味わいで、弾力に富んだ食感が特徴です。右の北海道産「仙鳳趾(せんぽうし)」は寒い時期の一番人気、クリーミーで濃厚な味わいです。魚の白子のような、ねっとりとした食感も楽しいですね。「仙鳳趾」は通年、カキを供給できる産地なんですよ。
うむむ……「仙鳳趾」の「うま味とろけ感」はすごいね!
サイズはたっぷり8.2㎝。これが口の中でとろけて・揉まれて・消えていく、その食感も独特。人のやわ肌を噛んだときのような、ちょっといけない感じがするのも豊満なカキならではのたのしさだなあ。
「ピュージェットサウンド」はカキ殻のこのひだの曲線が特徴。このラインがしっかりと波打っているものが上物とされるんですよ。貝殻をしっかり開閉することで海水を多く体内に取り込み、カキは大きくなります。つまりたくさん運動した証ともいえるんでしょうね。たっぷり運動したカキは肉厚になり、食感もよくなると考えられているようです。
ここ「オストレア」では、店舗・時期にもよるが基本的に国内外のカキ10~15種類が常時用意されている。値段は1つだいたい390~590円前後。盛り合わせの6個入りプラッター(2,800円)もあるので、まずはそれから頼んで味比べするのがおすすめだ!
またカキがお得な値段で味わえるオイスターアワーも知っておきたい。たとえば恵比寿店だと、開店17時~19時は先の盛り合わせプラッターが2,800円→1,800円で食べられるぞ! 国内産のカキが1つ300円になったりとお得なハッピーアワーになるので、ゼヒゼヒ活用しよう。(※オイスターアワーは店舗によって異るので、問い合わせてね!)※お店で提供されるカキの種類は季節によって異なりますのでご了承下さい
カキの醍醐味は生だけにあらず。禁断のベーコン巻きをゼヒ!
どうですこの盛観!
一番右からみんな大好きカキフライ、カキのオーブン焼き、カキのグラタン、カキとベーコンのグリル、そしてカキの炭火焼き(各1ピース480円)。
「カキのオーブン焼き」(右から2個目)はニンニクとパセリのバターで仕上げてあります。カキのグラタンは「カキのロックフェラー」というメニュー名なんですが、これはアメリカの伝説の富豪で石油王、ロックフェラー氏がこの料理が好物だったことにちなんだもの。今回はどれも先ほどの「仙鳳趾」のカキを使用しています(※時期によって使用品種は異なります)。ぜひ温かいうちに召し上がってください!
カキをベーコンで巻いて、ウスターソースで焼き上げたもの。ああ……なんと素晴らしい酒のアテだろうか! ちなみにメニュー名は「カキとベーコンとウスターソース」(別名:キルパトリック)、オーストラリア人がこの食べ方が好きなんだそう。各国のカキの食べ方が楽しめるのもオイスターバーの面白いところですな。
シメの料理でおすすめなのが、こちらの「カキと大葉のリゾット」(1,580円)。
カキって肉のダシとも意外と合うんですよ! チキンブイヨンと大葉でつくったチーズリゾットと一緒に食べるカキ……これが最高なんです。ポイントは、散らしてあるカリカリに揚げた生ハム。食感もよくて、カキのうま味をさらに引き立てます。「オストレア」の全店共通メニューです。
カキにマッチする日本酒&ウイスキーとは
これだけうまいカキを味わっておきつつ、お酒がないのはどーにもさびしいッ!
ついつい無難にビールで終わってしまいがちだが、小澤さん、どんなお酒を合わすのがおすすめ!?
カキに合うワインもいろいろご用意してますが、面白いところで、こんなところはいかがでしょう。右から「Shell Lovers」、これ日本酒なんですよ。日本最大のカキ養殖地でもある広島の『富久長』(ふくちょう)さんがつくられたお酒で、名前のとおり「貝の恋人」、貝類や魚介に合わせた日本酒です。真ん中も日本酒で「専門酒シリーズ 牡蠣」、宮城県の酒蔵のもの。「Shell Lovers」は酸がしっかりしていて、ワイン的な食中酒です。「専門酒シリーズ 牡蠣」のほうは糖度がややあり、飲みごたえがありますね。左はスコットランドのブレンデッド・ウィスキーで、その名も「ロック・オイスター」といいます。かの地では生ガキにウィスキーをちょっとふりかけて食べることもよくあるんですよ。
カキとの相性を考えたお酒と、カキ料理を楽しむ。
これまたオイスターバーならではのザッツ・エンタテインメントだ。ちなみに、ここでは紹介できなかったカキ料理はまだまだいっぱいあるぞ。そしてもちろん、カキ以外の料理も充実している。
小澤さんのおすすめをちょっとアップ。
「手作りソーセージ」(900円)
パプリカの香りが漂ってなんとも香ばしい焼き上がり! これと生ガキで最初にビールを楽しむの、たまらんよ。ホント。
「炙り〆鯖とジャガイモのロースト」(1,300円)
白ワイン派ならこの前菜がイチ推し!! お店の人気メニューで、カキとこれ目当てで通う人も多いのだとか。
さて……あなたは今、もうカキが食べたくて仕方ないはず。カキはご存じのとおり、栄養も豊富な食材。カキが含む「タウリン」は肝機能をアップさせる効果があり、疲労回復にも◎。またカキが含む亜鉛は、男性ホルモンや女性ホルモンの合成にも欠かせないもの。ちょっと疲れ気味のときには、カキ料理で元気をつけるのもいいのでは?
今回ご協力いただいた「オストレア恵比寿店」のみなさん。いい笑顔どうもありがとうございました! 仕入先のカキ産地に訪問経験のあるスタッフが各店舗にいるので、カキに興味のあるかたは質問などドンドンしてみてくださいな。
お店情報
オストレア恵比寿店
住所:東京都渋谷区恵比寿1‐8‐4 COCO SPACE 1F
電話番号:03‐5793‐4160
営業時間:ランチ 11:30~14:30(L.O. 14:00)※土・日・祝を除く
ディナー 月~土 17:00~24:00(L.O. 23:00)
日・祝日17:00~23:00(L.O. 22:00)
定休日:年中無休(年末年始を除く)
ウェブサイト:http://www.ostrea.jp
書いた人:
白央篤司(はくおうあつし)
フードライター。『栄養と料理』(女子栄養大学出版部)オムロンのカルチャーサイト『リズム』などでコラムを連載。居酒屋・お雑煮研究・郷土料理がメインテーマ。初の著書「にっぽんのおにぎり」(理論社)がただいま5刷目で発売中!
facebook:atsushi.hakuo ブログ:独酌日記