カップルで楽しめる変わり種銭湯
温泉でゆったりと癒されたい。けれど、遠出すると往復の移動で疲れてしまう。
そこで、調査のプロであるリサーチャーさんに、都内で楽しめる一風変わった銭湯を紹介してもらった。ノスタルジックな銭湯デートに出かけてみよう。
羽衣湯(渋谷区本町)
10年前までは普通の銭湯だった羽衣湯。
阪神大震災で家屋が倒壊する様をテレビで見た店主さんは、湯気で木が腐りかけていた建物の建て替えを決意。
「どうせなら変わったことをしたい」と、羽衣湯は都市型銭湯として生まれ変わった。
丸みのある現代風の建物に入っていくと、まず大量の漫画が目に飛び込んでくる。
店主さんはファミレスで勉強する学生を見て、「長居のできるお風呂屋さん」を思いついたらしい。
風呂上がりには漫画喫茶のようにのんびりとくつろぐことができる。
渋谷の空が見える露天風呂をはじめ、ジェットバスや電気風呂などバラエティ豊か。
富士山の絵はない代わりに、日中は陽光がさんさんと降り注ぐ。
内容の異なる「桜の湯」と「桔梗の湯」は偶数日と奇数日で男女入れ替え制となっている。
第一金乗湯(板橋区若木)
2013年3月にリニューアルオープンした第一金乗湯。内装は白と木目調で統一され、清潔感のあるスタイリッシュな空間となっている。
第一金乗湯の注目ポイントは浴場のペンキ絵。現在日本に残っているただ2人のペンキ絵師、中島盛夫さんと丸山清人さんがそれぞれ男湯と女湯の絵を手掛けた。
奥行きのある男湯の富士、浮世絵のような鮮やかな女湯の富士、これらの絵を目当てに一度足を運ぶ価値はある。
お風呂は地下約200mからの良質な天然井水で沸かしており、白湯や各種マッサージ風呂、平日と土日祝日で内容が変わる薬湯などがある。
天然井水はペットボトルを持参すれば持ち帰ることができるらしい。
休憩室にはなんとカラオケがある。防音の整った休憩室で、旅館のように過ごすことが可能。お風呂とカラオケで日頃のストレスを解消できそうだ。
石川湯(世田谷区北沢)
オシャレなカフェや雑貨屋、古着屋などが立ち並び、若者たちのデートエリアとして人気の下北沢。
歩き疲れたら石川湯で足を休めてみてはいかがだろう。場所は下北沢と東北沢のちょうど中間あたり。
ブーツ用の下駄箱があったり、ロッカーが大き目だったりと、若者の利用者への配慮がなされている。
風呂場にはやわらかいお湯が特徴の薪風呂や超音波ジェットバス、座風呂などがある。
毎週日曜に開催される漢方薬湯「瑞恵(ずいけい)」は、お肌に優しく、疲労回復や冷え性にも効果があるという。
ちなみに、銭湯の発祥は奈良時代。寺院が庶民に身を清めさせる「施浴(せよく)」が原型と言われている。
江戸時代には「湯屋」として広まったが、当時はすべて男女混浴だった。
風紀の乱れから幕府は再三にわたって混浴禁止令を出し、江戸時代の後半になって男女が分かれるようになる。
この時、女湯の配置は「関東では左、関西では右」というのが定着した。
京都のあるお風呂屋さんによると、人間の顔は右側の方が表情豊かなので、女性は風呂上がりに顔の右側を見せると良いらしい。