『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』「ストームシャドー」の日本語吹替声優・小林親弘さんに聞く「不思議なご縁」「実写と声のお芝居の違い」
世界的な人気を誇るアクションフィギュアをもとに映画化され、ハイテクガジェットや特殊マシンを駆使し世界を守る最強の戦闘エキスパートチーム「G.I.ジョー」と、世界支配を目論む悪の組織「コブラ」の戦いを描き、全世界でメガヒットを記録した大ヒットアクション映画『G.I.ジョー』シリーズ。
ファン待望の最新作『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』では、史上最大規模の日本ロケが行われ、刀と銃を武器に戦い「G.I.ジョー」最強の戦闘能力を持つシリーズ人気No.1の漆黒の忍者ヒーロー“スネークアイズ”が主人公に!“未曽有の忍者テロ”を阻止するべく立ち上がったスネークアイズの、謎に包まれたオリジンストーリーが初めて描かれます。
本作でストームシャドーの日本語吹替を担当するのが、声優の小林親弘さん。“嵐影一族”の一員として、スネークアイズの友にして宿敵となるストームシャドーをどの様に演じたのか。お話を伺いました!
ーー本作、楽しく拝見させていただきました!小林さんは元々『G.I.ジョー』シリーズをご存知でしたか?
実は、声優のお仕事を始めて半年くらいたった頃に『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013)に、確か警官Aとかそういった役柄の声を担当させてもらったんです。その時に映画も観て。「G.I.ジョー」というコンテンツ自体にもそこで始めて触れまして、面白いなあと楽しませていただいていました。『G.I.ジョー バック2リベンジ』では、イ・ビョンホンさんがストームシャドーを演じていて、カッコいいなあと。その時のストームシャドーはすごく寡黙だったので、本作ではセリフが多くてビックリしました(笑)。
ーー本作ではまた全然違ったストームシャドーとなっていますよね。演じる上でどの様なことを意識されましたか?
エピソード0的な、過去のお話で。ストームシャドーになる前のトミーというキャラクターは、忍者の名門の家系を守る真っ直ぐで真面目なキャラクターだなと思いました。真面目に演じようということを一番に意識しました。その真面目さ故に、ある出来事がきっかけで立場がひっくり返ってしまうというか…。
ーー難しい役柄だと思うのですが、小林さんの声のお芝居が本当に素敵で、ストームシャドーがより魅力的に感じました。映画をご覧になった率直な感想はいかがですか?
アクションすごいなと思いました!今舞台でアクションに挑戦しているので、「いや、こんな風には出来んぞ」って冒頭からずっと思っていました。バイクから車に飛び移ったりだとか。ハリウッドだと『マトリックス』の様なワイヤーを使ったアクションが多いと思うのですが、 「どうやっているんだろう?」と。アクション監督を谷垣健治さんが担当されているということで、日本を舞台にした作品だから、日本のスタッフさんがちゃんと携わられているのだなと。日本ならではの、体を使ったアクションの凄さを感じました後半に、キャラクターが横一列に並ぶシーンも、『Gメン』みたいで(笑)。特撮作品にもありそうで、日本らしくて好きです。
ーー日本ロケということですが、ビックリするほどのスケールの大きさですよね!
本当、どこで撮ったんだ?!って思ったんですよね(笑)。ゴールデン街の様に見えますが、実際の場所はどこなんだろうと思いながら観ていました。『ブレードランナー』の様なサイバー感もあって、日本にもまだこんな場所があるんだなと、面白かったです。
東和ピクチャーズさんより:飲屋街のシーンは、大阪の京橋で撮影しています。設定は新宿ということです。
ーーその他、小林さんが本作の中で気になった所、好きなシーン等はありますか?
見どころというか思い出話になってしまうのですが…。個人的には、鷹村を演じている平岳大さんと、15年くらい前に飲ませていただいたことがあって。平さんが「演劇集団 円」(小林さんが所属している)の先輩と仲が良くて、僕はその時は養成所生だったのですが、ご一緒させていただきました。なので、本作に出演されていて不思議なご縁を感じました。ご本人は(飲んだことを)覚えていらっしゃらないと思うのですが、いつかまたお会いしてそんなお話が出来たら嬉しいなと思います。
ーー平さん演じる鷹村も個性的な適役でしたよね。
平さんのインタビュー記事を見させていただいたのですが、この映画の為に髪型を坊主にされたということで、すごく気合いを感じました。後半、ある物を手に入れてからは、すごくイキイキしていて楽しそうでしたよね。悪役をすごく楽しんでいらっしゃるなと思いました(笑)。そして、鷹村の声を子安さんが担当されていて、平さんのお顔から子安さんの声が聞こえてくるのも楽しかったです。
ーー収録は別撮りで行われたのですよね?
そうなんです。一緒に収録が出来なくてすごく残念でした。木村昴くんとは以前ラジオ番組でご一緒していたので、本当は一緒に収録して、スネークアイズとストームシャドーのバディ感をもっと出したかったなと思います。昴くんの声を聞いて、「かっこいい〜!」って(笑)。これまでご一緒させていただいた作品だったり、僕が観た作品の昴くんのキャラクターが、ファンキーな役柄が多かったので。スネークアイズの様に無骨で硬派なキャラクターは、初めて観た様に感じました。すごく渋くてカッコ良かったです。
井上和彦さんも、僕が仕事をはじめたばかりの頃に吹き替えを担当していた、『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』で主演を演じられていたので、3年くらいお世話になっていて。映画ではブラインドマスターを演じられていますが、僕にとってもマスターです(笑)。すごくカッコいい背中を見せてくれる先輩です。
ーーアニメの声をあてる時と、実写作品の吹き替えをする時の違いは、どんな所にありますか?
一番の違いは、ドラマや映画はもう実際の人間が演じている部分ですよね。俳優さんが険しい顔でボソボソっと話していたら、こちらもその様に演じないと合わないですし。顔が見えていないシーンではちょっと遊べたりするんですけどね。そうやって俳優さんの表情や動きと合わせるのが難しさであると思います。
でも、もしかしたらちょっとズレても良いのかな?とも思ったり。昔の吹き替えって結構口や表情とズレていたりして、でもそれが面白くて魅力的だったりもするんですよね。正解はひとつではなくて、色々なやり方があると思うので。
暁子を演じた安部春香さんは、ご自身で吹き替えされていて、普段はあまり吹き替えをしない方だと思うのですが、その生っぽさが魅力的だなと感じました。
ーー小林さんは演劇のお仕事もされていますが、自分が演じるお芝居と吹き替えの違いはいかがでしょうか。
距離を離しすぎない様に考えていますね。全く分けて演じる方もいると思うのですが、僕は、舞台でも映画でもアニメでも、キャラクターと遠すぎない様に、本当にその人がしゃべっている様な感じを出せたら良いなと思っています。そうやって、模索している時が難しいのですが一番楽しかったりします。
ーー小林さんは普段から洋画や海外ドラマを吹き替えで観ますか?
その時の気分によって半々くらいですかね。先日Netflixの『イカゲーム』を一気に観たのですが、それは吹き替えで。字幕を追わなくて良いので、アクションとか展開に集中出来るのが良いですよね。
ーーすごくわかります。劇場作品もそうですが、配信作品も吹き替えと字幕を選べるのがありがたいです。
Netfllixなどの配信サービスって、色々な国の作品が観れるから楽しいですよね。誰が見るんだろう?!というほどニッチなドキュメンタリーとか、「麻薬組織に潜入!」とかリアルに取材しているものもたくさんあって、好きなんです。あとお国柄がすごく作品に反映されていて、スペインの作品ってやけに脱いでいるんですよね(笑)。
今気になっているのは…メル・ギブソンがサンタクロースになる『クリスマス・ウォーズ』。バカバカしそうで超観たいです(笑)。あと、ニコラス・ケイジがトリュフ探しの相棒である豚を殺されて復讐するという『ピッグ(原題) / Pig』も気になっています。
津田健次郎さんとすごく仲良くさせていただいていて、オススメの作品をよく教えてもらいます。本当に面白い作品ばかり教えてくださるので、ありがたくメモして、観ています。
ーーそれこそ本作は、海外の方が観た時に面白さ・魅力を感じる部分が多いと思うので、次回作もはやく観たいなと思います。
海外の方が描く日本の映画って面白いですよね。『ラスト サムライ』を観た時も感じたのですが、日本の監督が撮ったらこういうテイストにならないので、すごく面白いと思います。
次回作があれば、ぜひまたストームシャドーを演じさせていただきたいですし、次は思いっきり悪い役柄になっているのかな…?とか楽しみがたくさんあります。ストームシャドーって悪役なのに、白装束なのがすごく面白いなと思っていて。そういった、G.Iジョーシリーズの面白い所、カッコいい所を皆さんにも楽しんでいただきたいです。
ーー今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!
『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』大ヒット上映中!
配給:東和ピクチャーズ
出演(声の出演):ヘンリー・ゴールディング(木村昴)、アンドリュー・小路(小林親弘)、安部春香(安部春香)、平岳大(子安武人)、石田えり(石田えり)、イコ・ウワイス(野津山幸宏)、ウルスラ・コルベロ(竹内順子)、サマラ・ウィーヴィング(白石涼子)、ピーター・メンサー(井上和彦)
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