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Apr 23 2024

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【コラム】Tranceを通じて希望の種を蒔く![PandoraのTokyo Serendipity]

【編集部より】
Trance(トランス)というジャンルをこよなく愛するDJ/トラックメイカー・Pandora a.k.a.まゆりんちさんのコラム「Tokyo Serendipity」。今回は2011年以降、海外でのイベントに参加するようになった理由や現地の雰囲気についてお書き頂いています。自身がTranceにハマるきっかけやDJ活動をスタートするプロセスについては前回のコラムで語って頂いておりますので、あわせてお読み下さい。

【コラム】やさぐれOLが如何にしてTranceを愛するようになったか[PandoraのTokyo Serendipity]
https://otajo.jp/43898 [リンク]

2011年。日本人は皆いつ命が終わるかわからない、誰もがそう悟らされる出来事がありました。東日本大震災です。
東京の被害は少なかったけれど、震災から自分も何かを学んだ証を残さなければと思い、数日後にイギリス行きを決めました。
今、この瞬間に命を失ったとして一番後悔すること。Tranceが生きている場所で、自分の大好きなアーティストのDJを見れないこと。純粋に今一番したかったことに気が付いたからには行動するしかない。そう思い、その日のうちにイギリス行きのチケットの手配をしました。初めての一人海外旅行です。

どうせ行くならと思い、お目当てのイベントのプロモーターに出演を交渉。今思うとすごく無謀だと思います。さすがに時期的にも、海外のよく知らないDJをイベントに出すわけにもいかないということで、お断りされましたが、そのプレパーティに出演させて頂く事になったのです。

英語が喋れて一人で海外に行くのは当たり前。喋れない状態でも本気でやりたいならどんなことでもチャレンジして乗り越えようと心に決めました。
英語うんぬんではなく、同じものが好き、大好きなDJを見たい--
結果的にその思いが伝わり、友人ができただけでなく、一番会いたかったDJが私の曲をチェックしてくれていて、「素敵だね!」と言ってもらえて、非常に感動しました。

2012年以降は、曲制作に打ち込み、1年でOriginal Tranck7曲、Remix15曲を制作しました。Remixを作ると、また違うレーベルからお声掛け頂いたり、繋がりが沢山出来ていき、毎日朝活で制作する。そのような生活習慣が当たり前になりました。

2013年には再度イギリスのイベントのプレパーティーに出演させて頂きました。ロンドンから1時間半くらいかかるところで開催された『Off The Rails』というイベントでしたが、たまたまその回が6周年ということもあり、メインのイベントは超満員でした。

また、同じ年にはアメリカにも行き、以前から交流のあったフロリダの女性Trance DJのSuzy Solarのイベントに同行させてもらいました。フロリダの屋外フェス『Earth Dance』というイベントでしたが、Tranceだけでなく、日本では聴いたことのないようなジャンルの音楽をたくさん楽しむことができました。
Suzyとは3日間一緒に過ごし、フロリダの色々なクラブに連れて行ってもらいました。フロリダも日本と同様、さほど大きなTranceのイベントはなく、「ほかのジャンルが混じっているなかでのプレイが多い」と言っていました。
そんな中で楽しそうにDJをするSuzyの姿は私と重なるものがありました。はるか遠い場所で同じ思いでDJしているSuzyをみて、より頑張ろうと心に決めました。

2014年には再びイギリスへ。ロンドンのMinistry Of Soundという大きなクラブにも遊びに行きました。
また、イギリスのTranceレーベルのPartyにも遊びに行き、タイトなスケジュールではあるものの、UKのTranceシーンを楽しみました。
日本のTranceのイベントは、ゲストDJが大物でなければ、超満員にならないのが現状ですが、UKは超満員でなくても、当たり前に色々なところでTranceのPartyをやっており、見たいアーティストを見に行ける環境がありました。

また同じ月にはニューヨークのイベントにも行きました。私が今一番大好きな『Mental Asylum Records』というレコードレーベルのイベントです。このイベントが今まで行った海外のイベントの中で一番といってもいい内容でした。
2011年以来会っていなかった大好きなアーティストともたくさん会話することができました。オーガナイザーとも意気投合し、お互いの国でのコラボレーションイベントの開催の話もしています。

私が音楽活動を続けているのは「Tranceが大好き!」という気持ちからですが、もう一つ、プレイやトラックを聴いてくれる人や、イベントに来てくれる人が国や肌の色関係なく、私の存在を通して明るくなって欲しい、と思っています。
やさぐれたOLだった私が、外見、年齢、性別、環境関係なく、本気でやりたいことをやり続けたら小さな頃からの夢をちょっとずつ現実にできてきた。

だから、やりたいことがあるなら諦めないで、やりたいことがないなら目の前にあることをとりあえずやってみる--
日々暗いニュースも多くて、かといって大きく世界を変えることはできないけれど、アイツをみるとちょっと希望を持てる--

そんなふうに思ってもらえる人になりたいと思っています。

楽しいことばかりではないけれど、たくさんの出会いや学び。「誰かの笑顔が見たい」と思わせてくれたTranceという音楽と、応援してくれる周りの方に本当に感謝しています。
これからもたくさん楽曲をリリースして、国内外のTranceシーンを盛り上げていきます!

(了)

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記者プロフィール

Pandora a.k.a.まゆりんち

2008年DJデビュー後、東京を拠点に数々のイベントに出演。 ハードかつハッピーなサウンドで、フロアを魅了してきた生粋の江戸っ子女性DJ。 「Pandora」の名義で、オリジナル、リミックス・トラックをリリース。 女性らしいメロディアスなトラックから、男勝りのハードなトラックまでを使い分け、 そのパワフルなDJスタイルは他のDJ達を圧巻し、国内の女性トランス界のトップに君臨する。 https://www.facebook.com/pandora.mayu

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