人気学園BL映画『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』森下紫温×加藤大悟「意図せず、ギイとタクミの関係に」撮り下ろしインタビュー
シリーズ累計500万部を超える大人気BL小説「タクミくんシリーズ」31周年にして待望の実写新シリーズ、劇場映画『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』(公開中)より、タクミ役:森下紫温さんとギイ役:加藤大悟さんの撮り下ろしインタビューをお届けします。
シリーズ累計発行部数500万部を超える大人気小説「タクミくんシリーズ」は、1992年5月から2014年3月まで、小説「タクミくんシリーズ」として全28巻が刊行され、2016年3月から2017年2月にかけて『タクミくんシリーズ 完全版』としてこれまでの物語を時系列順に収録された全11巻におよぶファン必携の文庫新装版が刊行されています。
さらに2014年12月より大人になった託生やギイたちを描いた「崎義一の優雅なる生活」が現在5巻まで刊行されています。
「タクミくんシリーズ」は何世代にも渡り愛され、学園BL(ボーイズラブ)小説の金字塔に! 小説が発売されてから31周年を迎える今年、待望の劇場映画の新シリーズが始動! 小説『タクミくんシリーズ』が新たに実写映画化され劇場公開となりました!
W主演のタクミ役:森下紫温さんとギイ役:加藤大悟さんに、お互いの印象や映画の楽しみ方などお話を伺いました!
――長らく愛されているシリーズですが、出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。
加藤:僕は初主演、初映画ということで、自分の宝物になるなと思いましたし、自分の成長に絶対に繋がるなと思いました。もちろんプレッシャーだったり、不安や心配もあったのですが、それ以前にW主演の紫温ちゃんを自分が支える立場に回ろうかなと。その気持ちで臨むことによって自分の成長や経験に繋がるかなと思いました。
森下:僕も映画初出演ですし、事務所に所属してからも日が浅く、演技の仕事もしたことがなかったので、オーディションのお話をいただいたときはとても嬉しかったんですけど、大悟くんはもちろん、共演者の方々がテレビや2.5次元舞台で活躍されていて、その中で自分で大丈夫かな?最初の仕事で迷惑をかけてしまうんじゃないか、みんなの足を引っ張ってしまうんじゃないか、と不安はありました。
撮影現場がどういったものなのかもわからなかったので、未知の世界に対するワクワクもありましたけど、それ以上に緊張と不安が撮影に近づくにつれ大きくなって。最初はもちろん嬉しかったんですけど、振り返るとすごく緊張していたと思います。
――加藤さんから見て森下さんの様子はいかがでしたか?
加藤:そんな別に……。寝ていたときはありましたよ(笑)。寝てるシーンで、本当に寝ていました。「あ、この子すごい!!えー!このカットだけで寝れるんだ!?芝居力すごいな」と思いました(笑)。
――それは肝が座っているというか……すごいですね。
加藤:すごいです、本当に! もう尊敬しました!
――実際に演じられた映像を見ても、森下さんは経験の浅さを感じさせないくらいナチュラルな演技だと感じましたが、加藤さんはどう感じられましたか?
加藤:僕もまだ経験が浅いですし、先輩方から色々教わったことがありまして、その教わったことを全部紫温ちゃんに伝えられたらいいな、と思っていました。だから、「これはひとつの俺の意見だから、もっと自分の中で解釈して落とし込んでやってね」ということをたくさん紫温ちゃんと話したり、「俺はこう先輩に教わったんだけど、やってみて?」と言うようにしました。僕もその年齢のときに色々な方々に教わったので、ちょっとでもその知識を僕から流してあげられたら、と意識しました。
――2.5次元舞台の俳優さんたちは良い方が多くて、本当に素晴らしい世界ですね。
加藤:本当にそうなんです! 最強ですよ!!
――森下さんは加藤さんからのアドバイスで印象に残っていることはありますか?
森下:今、演技が自然に見えたとおっしゃっていただきましたが、自分の中で固めてきた演技では全然そんなことはなくて。そう見ていただけたのは、横井監督と大悟くんが、“言葉や形だけじゃなくて、感情に寄り添って会話のキャッチボールをする”といった演技を1シーンごとに何度も教えてくれて、結果的にあの演技になったので、全然自分の力ではないので……。
加藤:いやいや、自分の力ですよ。
森下:大悟くんが共演しているシーンでは本当にずっと都度アドバイスしてリードしてくれて、意図せず、リードするギイとリードされていくタクミの関係が出来ていた気がします。
――それぞれのキャラクターを演じる上でディレクションされた部分や、自分なりにこだわったことがあれば教えてください。
森下:タクミは人間接触嫌悪症というのがポイントだと思うんですけど、人間接触嫌悪症だけど別にコミュ障ではないし、そこが難しくて。人によって距離感や目線の合わせ方がバラバラで。
それこそ仲の良い利久とかに対しては目も合わせられるし会話もできるし、全然隣を歩ける。でも、人によっては目も合わせられないし、触れられたらパニックになっちゃうような、相手キャラそれぞれの距離感がバラバラだったので、横井監督はそういうシーンのたびに「このキャラだったらタクミはこのくらいの距離感かな」と、相手キャラに合わせたタクミの心情に寄り添った指導をしてくださいました。
それが、自分の中の解釈と若干違ったりしたときは正していただいたりして、なんとか上手くやれたかなと思います。すごく丁寧に細かく教えていただきました。
加藤:ギイは表情がめちゃくちゃ難しくて。「このときのギイのタクミへの視線の送り方はこれじゃない」とか、ギイは実は色々知っているわけだし、そういうときの視線の送り方や表情が柔らかくなったりするなどの作り方を横井監督とすごく話し合って。「いや大悟、ちょっとそれはやり過ぎだったかもな」みたいなことを躊躇なく横井監督は言ってくれるので、僕もそれに立ち向かって負けないようにやっていました。
僕自身が特に意識したことは、ギイは高嶺の花の存在ですが、もちろんそれを素として振りまける人もいると思うんですけど、100%の内、1%でも「自分はみんなの前でこう振る舞わなきゃ」とプレッシャーを感じてしまうところもあったりするんじゃないのかな、と人間の弱いところがあるのではないかなと。そういうところがちょっと垣間見えるだけでも人間味が溢れて僕はすごく素敵だなと思ったので、そこを意識しながら役作りしました。
――とても愛されている人気シリーズで、その中でも高嶺の花の美形!みたいなキャラですよね。
加藤:僕の今の経歴上、なぜかそういう役が多いんですよ、自分と真逆の(笑)。
森下:そうなんですか?
加藤:そう、公式美形みたいなキャラが2.5次元舞台でも多くて。自分はそういう美形の方々に憧れている立場だから、憧れから役を作るというのは客観的に見られるからいいなと思っていたので、逆に僕は有り難かったです。
――舞台『漆黒天』の千蛇も美しくてとても素敵でした! 美形の役が多いですね(笑)。
加藤:恐れ多いですよ、もう本当に俺なんて……(笑)!
森下:めっちゃ美形じゃないですか!
加藤:メイクするとめっちゃ変わるからね(笑)。
――では、いつも憧れの対象として美形キャラを演じているんですね。
加藤:僕はずっと「いいな!」と憧れていて。人間の憧れってすごく素敵じゃないですか。自分も頑張ろうとする心も芽生えるし、そういったところから役に対してアプローチしました。
――こうだったらいいな、という憧れを投影されていると。
加藤:そうです。そして客観的にみんなが「この人すごい!!」となる感情をどうやって持ってこよう、と考えるのがめっちゃ楽しいです。「今、自分は役で憧れの人物像になれているんだ!」みたいなところが楽しいですね。
――では、本作を何回も繰り返し観てくださる方もいると思うので、見どころや楽しみ方を教えてください!
加藤:僕は全員が主役だと思っているので、それぞれのキャラ視点で観てほしい! タクミ視点でのギイ、ギイ視点でのタクミ、章三視点でのギイを見たりとか、そういう楽しみ方をできるシリーズだと思うし、バックボーンを知っている方々は色々な発見がたくさんあると思うので。もちろん僕らが一番頑張ったキスシーンなども見どころなんですけど、それぞれのキャラ視点で没入して映画自体を楽しんでいただきたいです。
森下:原作の本編も章ごとにカップリングがどんどん変わってくる、すごく魅力的なキャラクターが多いと思うので、もしこの映画が続編など繋がることがあるとしたら、それこそまた他のキャラの恋愛に焦点が当てられてメインで話が進んでいくこともあるかもしれないし、タクミとギイだけじゃない、そこ以外でも恋愛が発展していったり、きっかけが生まれていったりするのが魅力だと思います。
――映像だからこそ、他のキャラの表情などにも注目できますよね。
加藤:それこそ舞台とかだと、ちょっと視点を変えると見え方が全然違うじゃないですか。映像は特に表情を寄りで抜かれるし、その表情が誰に向けられているのかがわかりやすい。だからこそ、視点を変えて見ていただけるといいのかなと思いますね。役者も絶対にその表情1つ1つに何かしら意味を込めてやっているので、そこを自分の価値観と解釈で見ていただけたらいいかなと思います。
――また、加藤さんは今回映画の主題歌も担当されていて、おめでとうございます!
加藤:主題歌「0%」は作詞もさせていただいた曲で。でも、タクミくんシリーズの主題歌に決まる前に、ソロアーティストとしてやろう、と作った初めての楽曲なんです。だから、今回の映画に起用されるとは思わずに書いた歌詞なんですよ。それが偶然ハマって!
――それはすごいですね!
加藤:恋愛観を書いたものだったのでリンクしたのかなと思います。決まったときはめちゃくちゃ嬉しかったですし、監督に言って良かったと思いました(笑)。僕が「ぜひ、できれば僕の曲を使っていただけませんか?」と言って、監督が「これいいね」と言ってくれたので有り難かったです。
――主題歌も皆さんに楽しんでほしいですね。では、共演されてお互いの魅力はどんなところだと感じましたか?
森下:大悟くんは「自分はギイとまったく真逆です」と言うんですけど、人が集まる魅力があるじゃないですか。
――わかります。
森下:大悟くんに人が集まる、人の注目を浴びる才能というのは、やっぱりギイに通じるものがあると思います。撮影現場でも、どれだけハードなスケジュールで疲れたとしても大悟くんがいると活気が出るし、現場の雰囲気が良くなる。その雰囲気を持っている人ってなかなかいないと思うし、その人間性の要素を持っていないとギイを演じられないと思うので、すごいなと思いました。
加藤:紫温ちゃんは本当に飲み込みがすごく早くて。例えば、僕は台本を読むときにタクミのセリフや気持ちも考えてしまって、僕自身が思ったことを紫温ちゃんに「俺はこうやって思ったよ」と伝えて、「でもこれは俺の気持ちや考えだから、それを参考にしてくれても嬉しいし、また別の自分の解釈があるならそれでやればいいよ」と伝えたんです。僕も同じように先輩に教わってきたので。それをきちんと受け止めて返してくれるんですよ。
「こういう気持ちだと思うんですけど、どうなんですかね?」と会話が出来たので、僕はすごくお芝居を作っていて楽しかったし、魅力的だし、自分自分のためによく考えられるタイプの人間だから、すごく尊敬しました。そういうところも踏まえて、タクミができる人って紫温ちゃんしかいないのかな、と今回思いましたね。
――ありがとうございました!
映画『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』は全国公開中!
[撮影:冨田 望]
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作品情報
◆タイトル:タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。
全国公開中
出演:森下紫温 加藤大悟
中山咲月 高橋璃央 野口友輔 植村颯太 永島龍之介 坪倉康晴 木津つばさ
原作:ごとうしのぶ(「暁を待つまで」「そして春風にささやいて」「長い長い物語の始まりの朝。」/角川ルビー文庫刊)
原作イラスト:おおや和美
主題歌:「0%」加藤大悟 ※「0%」の読みは「ゼロ」
監督:横井健司
脚本:金杉弘子
製作:「タクミくんシリーズ」製作委員会
(C)2023 ごとうしのぶ/KADOKAWA・「タクミくんシリーズ」製作委員会
公式ウェブサイト:https://takumi-kun.jp 公式 Twitter/Instagram:@takumikun_movie
◆配給:カルチュア・エンタテインメント