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Nov 24 2024

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「控えめに言って尊い」「お互いを想い合っていて良い」 恩返しのつもりが人間と結婚したタヌキのマンガが切なくも暖かかった

「昔話のように助けた動物が恩返しに来る」というのは定番なストーリー。人生に疲れている人間を变化させてタヌキにスカウトしようとするこがね丸を中心にした物語のマンガを発表している奈川トモさん(@nagawatomo)が、最新話『恩返しにきたら専業主夫をすることになったタヌキ』をTwitterに公開。ケガをした時に助けてくれたリクちゃんと結婚したタヌキチの気持ちを描いており、「二人とも可愛い」「お互いを想い合っていて良い」といった反応が多数集まっています。

※参考記事 「愛すべきポンコツ」「ハラハラしたけど杞憂だった」 中二病なタヌキが人を惑わそうとするマンガに結局ほっこり
https://otajo.jp/93767 [リンク]

田沼小吉ことタヌキチ。「プリン作った、食べる?」というと、妻のリクちゃん(れっきとした人間)は「わーい!やったー」と大喜び。「うまーっ。小吉くんすごいよコレ。天才」と絶賛。タヌキチは「リクちゃんに喜んで貰えるように、料理も洗濯も何でも覚えた。リクちゃんが笑っていると俺も嬉しい」といいます。

一年前、野犬に襲われて足を怪我していたところ、リクちゃんが病院へ連れていき、治るまで世話してくれたために、「だから俺はリクちゃんの事をよく知っている。好きなものも嫌いのものも」というタヌキチ。ふたりで散歩中に抹茶アイスを買い渡すと、「わぁ、ありがと。よく分かったね!抹茶だいすき~っ」とリクちゃんのお礼の言葉に「あっ」と思いつつ、「う、うん。たぶん…好きかな~と思って…勝手にごめん…」と言って、「リクちゃんはあまり深く考えない人だから助かる。おかげで今日も俺は人間でいられる」と思います。

ベンチで休んでいるところに、仕事の電話がかかってきて戻ることになり、「あ…晩ご飯どうする?」と訊くと「小吉くんの好きなアジの開きで!」とリクちゃんに言われて、タヌキチが「アジの開き好きって教えたっけ…?」と訝しんでいたところに、「よっと」と現れたこがね丸。人間の姿になって「おひとついただこうか」と手のついていないアイスをタヌキチから受け取り、「どう?人間と結婚して3か月経つけど」と聞きます。

「すっげーしあわせ。飯はうまいし布団はあったかいし、リクちゃんはめちゃめちゃ可愛い」と惚気けるタヌキチ。「俺は読み書きもままならないし、ろくに働けないのに…何でリクちゃん俺と結婚しようと思ったんだろう」と言います。こがね丸に「タヌキチは何で結婚したんだ?」と聞かれて、「恩返しのつもりで近づいたんだけどさ~、気づいたら…まぁ…他のオスにとられんのは嫌だし考えられないっつーか」と本音を出しつつ、「…けどさ…」と続けて……。

「俺、あと何年リクちゃんと一緒にいられるかな…?」というタヌキチ。「もし人間じゃないとバレたら、昔話のように山に帰らないといけないのかな? バレなかったとしても人間のリクちゃんより長く生きられるかな…? 俺もこがね丸みたいに…」と不安な気持ちを吐露しているところに、「タヌキチ。アイス、とけてる」と言われて、慌ててパクつきます。

「なぁ、足の具合はどうだ?」と聞かれて、「ああ、すっかりいいぜ。まだ痕が残ってるけど。これは化けてもうまく消せなくてよ」と左足を見せて、「うわぁ、痛そ」「でもちょっとかっこいいだろ?」「あー確かに。すげー強そう」「だろ!?」と話す二人(二匹)。こがね丸は「大丈夫そうだな」と言い、「奥さんって傷の事ぐらい知ってるだろ?夫婦だし」「そりゃまぁ…」「なら平気だろ」と告げて、「化け狸は普通の狸より長生きだよ。せいぜい化け術でも磨いて長生きしろよ」という言葉を投げかけて何処かに歩いていきます。

家に帰って、「アジの開き、駅前の魚屋さんので良かった?」とタヌキチに聞かれて、「そうそうそこのやつ!小吉くんてば凄い勢いで頭から丸ごと食べ……」というリクちゃんに「!」となったところ、「て~…食べてそうだなぁって…」と言われ、「えー、俺そんなにがっついて見える? 動物じゃあるまいし」と苦笑。「えー。頭から食べる人もいっぱいいるよ~」というリクちゃん。そのあせあせとした笑顔に「もしも、タヌキだってバレたら」と思うタヌキチは……。

「それでも…。彼女となら一緒にいられるって期待しそうになるし…。聞けないこと言えないことばっかりだけど…」と思いながら、リクちゃんを後ろから抱きしめるタヌキチ。「リクちゃんあのね…」「ん?」「俺、長生きするからね」「…うん。長生きしてね」と言われて、「ずっと傍にいたいから…、今はまだこのままで」と思うのでした。

「タヌキシリーズの1話でこがね丸が“みんな人間になりたがってよ”というセリフを作った際に、人間社会にこっそり馴染んでいるタヌキたちを想像し、真っ先に出てきたのがタヌキチという存在でした。彼は2話で一番最初に人間社会に生きるタヌキとして出てきています。今回はそんな彼を掘り下げようと思ってできたお話です」と奈川さんが語る今回のストーリー。

タヌキチについて「もともと人間社会にはあまり興味がないタヌキです」といい、「リクちゃんと結婚することになったので人間として生活をしていますが、時々山が恋しくなって山のタヌキたちと宴会をしています」とのこと。その様子は2話で描かれています。そして、リクちゃんは「タヌキチが読み書きも働くこともままならない事を知っていながら、一生養うつもりで結婚したようです。小さくて可愛らしい見た目とは違って、内面はとても逞しくカッコイイ子です」と語ります。

「控えめに言って尊い」「末永く爆発して欲しい」「思いやりが最高」という感想が続出していたこのストーリー。奈川さんは「大切にしたいから言えないこと、お互い思い合うからこそ守りたい嘘、だけど想いは通じ合っていると感じてくださった方が多くて嬉しかったです。また、タヌキチの初登場回を覚えていてくださった方や、伏線めいた部分を拾ってくださった方もおられて、細かいところまでよくよく読み込んでくださっていることがとても嬉しかったです」と感謝のコメントを寄せてくれました。

毎月1日・15日を目処に更新しているという奈川さんのタヌキマンガ。「本当はもっと細かく語りたいのですが、いずれまた漫画でこの夫婦が描けたら良いなと思います」と述べつつ、「いつも8ページで完結できる内容を目標にしているのですが、次回は8ページに収まらない内容になってしまったので前後編でお届けしたいと思います」とのことなので今後も要チェックです。

※画像はTwitterより
https://twitter.com/nagawatomo [リンク]

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記者プロフィール

ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営。ネット、メディア、カルチャー情報を中心に各媒体にいろいろ書いています。好物はホットケーキとプリンと女性ファッション誌。

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