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Oct 15 2024

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いじめシーンがエグい&交通事故後に無双!? マンガ『死んでから本気出す』の元いじめられっ子幽霊を後押しする声多数

『くらげパンチ』(新潮社)で連載中の橋本くらら先生(@hashimotokurara)のマンガ『死んでから本気出す』。学校ではいじめられて孤立している15歳の高井瀬奈が幽霊になって転生を目指して人間を怖がらせるというストーリーで、2020年10月にTwitterで公開された1話にかなりのエグさのいじめの描写がありつつ、「面白い」「無双してくれ」「倍返して欲しい」といった声が多数上がるなど大反響を巻き起こしました。

ここでは1話の後半と、橋本先生のインタビューを合わせてお届けします。

家に帰り、部屋でいじめっ子の写真を貼り付けたぬいぐるみを「死ね!死ね!死ね!」と蹴って、「あ~~~~。転生してぇ~」という瀬奈。スマホで30歳の冴えないOLが悪役令嬢に転生するマンガを読みながら、「30歳って…あと15年もこの世界で惨めな人生を送らなきゃ転生できないのかよ…」と思い、「15年か…私をいじめてる奴らは社会的制裁を受けずに勝ち組になるんだろうな。担任も卒業までいじめなんて見なかったことにするだろうし、社会に出たらパワハラ上司に怒鳴られながら奴隷のように働いて、ジジババの年金を負担するだけの夢も希望もない未来が待ってるに決まってる」と考え、「どうして私の住んでる世界はこんなに生きづらいんだ」と生気のない目をしています。

そこに、母親が部屋に来て「ごめんね、瀬奈お弁当箱」と言われ、「…ああ」と渡すと、「お弁当、美味しかった?」と聞かれて、「…えっ、あー…まぁ、…うん」といじめられていることが言えません。「そう、よかった」と笑って扉を閉めた後、ベッドに転がります。

朝。「はぁ~…。学校行きたくねぇ…」と下を向いて歩く瀬奈。「サボるか…、サボれないけど。はー…天変地異でも起きて学校休みにならないかな」と思っているところに、猫が道を横切ろうとしているのが見えて、「バカ!!」ととっさに猫を掴んで投げたところに、トラックが!

唖然としている瀬奈に、「あ!起きましたかー」という声がかかります。「はじめまして、高井瀬奈さん。私はファミリアといいます。霊界の案内人です」という自己紹介に、「ここは…?アレ?私…」と戸惑っていると、ファミリアは「混乱しているようですね。無理もないです。誰でも死の直後は現実を受け入れられません」と笑い、「通学途中アナタはトラックに撥ねられて死亡。幽霊になったんです、高井瀬奈さん」と告げます。「私が…幽霊?」とズーンとなる瀬奈ですが、「それでですね!死んで早々なんですが、瀬奈さんは転生に興味ありますか?」と言われて、「転生!?」と目を輝かせます。「転生って異世界転生か!?チートか!?悪役令嬢か!?」と食いつき気味に聞いて「お…落ち着いてください」と困ったようなファミリアは、「転生するには条件があります」と言い出します。

夜の街灯を不機嫌そうに歩く中年サラリーマン。昨日「ぼーっと突っ立ってんじゃねぇ」と瀬奈を突き飛ばした男です。それを見て「丁度いいですね。あのひとを使って説明しましょう」と笑顔のファミリア、「瀬奈さん、あのおじさんをおどかしてみてください」「は!?何で?」「もー、今のアナタは幽霊ですよ?幽霊が人間をおどかすって何かおかしいですか?」と言い、「無理におどかそうとしなくても大丈夫です。そこに突っ立っててください。アナタは特別ですから」と妖しく笑います。

一方のサラリーマン、道にボーっと現れた女子生徒に目をこすりますが、そのあまりにもおぞましい姿と瘴気に「ひいいいいいいいいいい」と叫んで、来た道を引き返して必死に逃げます。

サラリーマンの頭からは何か白いモノが抜けていき……、それをキャッチしたファミリアが「いやー、おみごと! やっぱり瀬奈さんは幽霊の才能がありますね」と褒めます。「幽霊の…才能?」と聞き返す瀬奈に、ファミリアは「瀬奈さん、今度はあそこの電柱の根元を見てください。座っている男性が見えませんか?」と指差します。「薄ぼんやり見えるような…」「あれが幽霊の通常の姿です。人間の目には映りませんし、現世に干渉は一切できません。ですがアナタは違う。自在に人間の前に姿を表しおどかすことができる。アナタは特別な存在ですよ瀬奈さん」と言われて驚く瀬奈。「そして恐怖におののいた人間から溢れ出るのがこの『恐怖のカタマリ』。転生するには49日の間に恐怖のカタマリを百個集めないといけません」と続けたファミリア、「つまり…49日間で人間を百人おどかせってことか?」「その通り!理解が早い!」と親指を立てます。

「おどかす対象は自由です!人間界の立場も法律も道徳も関係ありません!人間は幽霊の体に触れられないのでやりたい放題ですよ!」「やりたい放題…」「いままでこのミッションをクリアした幽霊はいません!きっと瀬奈さんにしか成し遂げられないでしょう!」とファミリアに言われて、「私にしかできない、私だけができること」と暗い目をきらめかせる瀬奈の肩に手を置いて、「異世界に転生するならどうせこの世界とはサヨナラです。人間を何人おどかそうと気に病む必要はありません。瀬奈さんがおどかしたいと思う人を恐怖で震えあがらせてやりましょう」という言葉に、クラスメイトや担任の姿を思い浮かべて、「…わかった」とニヤリと笑った瀬奈は「フフ…死んでから才能が開花するなんてな。待ってろよ社会にはびこるクズども。幽霊の私が鉄槌を下してやる」と顔を手で押さえる中二病ポーズ。それを見たファミリアに「イキイキしてますね瀬奈さん!死者ですけど」と言われて「こいつやかましいな」と思うのでした。

橋本くらら先生インタビュー

--『死んでから本気出す』が生まれたきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

橋本くらら先生(以下、橋本):『オカルト好きな先輩が心配』連載終了後に、次の連載企画がなかなか上手くまとまらず煮詰まっておりました。そんな中、ふと幽霊の女の子が主人公のマンガを描きたいと思いました。ただ幽霊の女の子の日常を描くだけでは企画として弱いと思い、「転生」という目標に向かって進む物語にしようと思いました。

--ホラー映画がお好きで、『オカルト好きな先輩が心配』もホラーGVG『夕闇通り探検隊』から影響を受けたとのことでしたが、ご自身が影響を受けた作品を教えてください。

橋本:子供の頃に見ていた作品から少なからず影響を受けていると思います。オカルトを題材にした作品では映画『学校の怪談』シリーズや、NHKで放送されていたドラマ『のんのんばあとオレ』が大好きで録画したビデオを何度も見ていました。『地獄先生ぬ~べ~』のアニメも毎週わくわくしながら見ていたのを覚えています。

--「転生」の手前がテーマになっていますが、転生もの作品へのご自身の印象を教えてください。

橋本:自分自身は転生したいといった願望が全くないので、正直なところこの企画を作る前は全然転生ものの作品には触れてきていませんでした。一から勉強する気持ちで以前から気になっていた『蜘蛛ですが、なにか?』(カドカワBOOKS)のコミカライズを読んでみたのですが、非常に面白くスラスラ読むことができました。設定や展開を作る上で大変参考にさせて頂きました。

--瀬奈はいじめられっ子で社会に絶望しているキャラクターです。いじめやパワハラなど、描く上でのポイントは?

橋本:『死んでから本気出す』は基本的に小さく狭い世界でのお話にしようと考えているので、いじめやパワハラのシーンも「狭く閉じた空間」を意識して描いています。自分自身がこのような露悪的なシーンを描くのが初めての経験なので、上手く描けているのかは自信がありません(笑)。

--すぐにでも早く転生したいはずの瀬奈が「悪人だけを驚かす」というポリシーにした理由を教えてください。

橋本:瀬奈はいじめられっ子のまま亡くなってしまったので、「自分は現世で何も成し遂げられていない」というコンプレックスを抱えています。自分を産んで育ててくれた両親に対する罪悪感、一度でいいから現世で何かを成し遂げたいを思う気持ちが、「悪人を懲らしめること」にこだわる動機となっています。

--ファミリアは謎めいた存在ですが、キャラクターとしてどのように生まれたのでしょうか?

橋本:設定のハードさもあり瀬奈一人で物語を動かすのは難しいだろうということで、瀬奈の相棒ポジションのキャラクターを作ることになりました。最初は瀬奈と同じ幽霊の女の子を相棒として、幽霊女子二人で転生を目指す話にしようかと考えたのですが、人間を脅かす際に幽霊が二人いてもあまりプラスに働かないことに気付きボツにしました。そして、相棒のキャラクターには瀬奈のサポートに徹して貰った方がバランスが良いと思い、案内人のファミリアが生まれました。ファミリアが生まれていなかったら企画そのものがボツになっていたと思います(笑)。

--1話の反響が大きかったと聞いています。率直なご感想をお願いします。

橋本:とても驚きました。いじめの描写から始まるので読んで貰えないのではないかと公開前はとても不安でしたが、たくさんの方に読んでいただけてとても嬉しかったです。

--単行本の描き下ろしの見どころを教えてください。

橋本:描き下ろしはこれまで謎に包まれていたファミリアの内面が描かれるので、彼女に対する印象が大きく変わると思います。また、今後のファミリアと瀬奈の関係性のヒントにもなっているので、是非読んでいただきたいです。

--最後に、読者へのメッセージをお願いします。

橋本:ダークな要素もありますが、是非瀬奈の物語を最後まで読んでいただきたいと思います!

--ありがとうございました!

『死んでから本気出す』(くらげバンチ)
https://kuragebunch.com/episode/13933686331716337062 [リンク]

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記者プロフィール

ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営。ネット、メディア、カルチャー情報を中心に各媒体にいろいろ書いています。好物はホットケーキとプリンと女性ファッション誌。

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